所有している空き地にアパートを建てて 運用したら、家賃収入を得ることができる。不動産投資は、他の投資方法に比べて、実物が残るので非常に安心な投資だ。今なら管理会社が家賃保証をしてくれるし、ローンの金利も安くて、ただ同然だ。3,000万円投資して、年間300万円の家賃収入が見込める。土地を無駄にあけていても仕方ないから、そうしよっか!
アパート経営をすると10年で資産が1億円以上作られるらしい。しかも、ほとんどお金をかける必要がないって!なんてすごいんだ、アパートローンは!早速購入しよう!
このような安易な考えから、アパート経営を始めてしまう人が非常に多いです。しかし、本当にその目論見通りにことは運ぶでしょうか?
また、一言でアパート経営と言っても、取り組む人によって、それぞれ目的と趣旨が違いますし、それぞれの状況によっても取り組み方が異なります。
アパート経営を始めるきっかけは?
一つめのパターンは、土地活用としてアパート経営をするケースです。主に地主さんが取り組む方法で、何らかの状況で空き地を引き継いだことがきっかけで、建築業者の営業がきっかけでアパートが建築されることがかなりの割合を占めます。
また、一方で全く土地などを持っているわけではないのに、中古のアパートを購入して運用する投資家もいます。巷で見かけるような、0円で億単位の資産を築こうなどと謳う本にもある通りです。それが、上記2番目のパターンです。
アパート経営には、自分の持っている土地に建築するパターンと、新築か中古は問わず、土地込みで購入するパターンとがあるんですね。
アパート経営は儲かる!?
では、アパート経営は、本当にそんなにおいしい投資で、儲かるものなのでしょうか?
アパート経営自体が儲かるとも儲からないとも、どちらも正しくなくて一面的です。確かにアパート経営ですごく儲ける人がなかにはいますし、逆に損をして最悪の場合、破産してしまう人がいるのも現実です。
??アパート経営は、本当に儲かるの?それとも損するの??
アパート経営でうまくいかないパターン
例えば、郊外で駅から徒歩25分の場所に16㎡のワンルームで3点ユニット(風呂・トイレ・洗面が一部屋に収まっているタイプのバスルームの略)の物件があったとしましょう。周りには、もっと広い25㎡でバストイレ別の1Kタイプのマンションがたくさんあり、家賃も3万円と安いです。
果たして、そのアパートに入居者は着くでしょうか?
おそらくほとんど入居者は、「つかない」と思います。16㎡の3点ユニットの物件は、バブルの頃には実際にたくさん建築されました。そして、現在、そういったアパートがたくさん空室になって家賃が得られないでいるのです。
家賃が得られなければ、当然、収入は入ってきませんので、投資としてのリターンがない状態になり利回りが下がることになります。また、ローンを組んでいる人はほとんどが、家賃収入を使って金融機関に返済しようと考えているはずなので、空室が多くなれば、当然ローンの返済を滞ることにもなりかねません。
アパート経営でうまくいくパターン
一方で、アパートを何棟も持っていて、すべて満室経営で、年利20%という高利回りを得るような投資家の人もいます。
同じように駅から離れていても、家賃を安くしたり、他とは異なるデザインや機能を持った物件にしたり、あるいは、そもそも駅から近いよい場所や人気のエリアに物件を持っていたりします。
年利20%で運用できれば、5年で投資金額の元が取れて、10年で投資金額ば2倍になります。
そもそも、投資というのは、「投資した金額をいかに効率良くリターンとして得るか」というものです。家賃というリターンが小さくても、そもそもの投資金額が小さければ成功することがありますし、逆に家賃が高くても投資金額が多ければ儲かりません。
アパート経営の仕組み
では、どうしてアパート経営でうまくいく人とうまくいかない人とがあるのか?その理由を探る前に、まずは、アパート経営という投資のからくりを簡単にみておきましょう。※ここでは、おおざっぱな流れ、概要だけを抑えて下さい。
アパート経営の仕組みは、こうです。
- アパートを建てる
- 建てたアパートの部屋に入居者がつく
- 入居者から家賃収入が入ってくる
- 固定資産税やローン、火災保険、(あれば)管理費用等の支払いをする
さらに経年に応じて、必要な補修をすることが必要になります。
アパート経営の儲け=家賃収入−経費 ということだね!
例えば、外壁や屋根は10〜20年に一度まとまった修繕をしないといけませんし、内装については、入居者の入れ替わりの時に、経年劣化した部分(入居者が負担する原状回復分を除いた部分)のリフォーム部分は経費が必要です。さらに、給湯器などの建物付属設備や建物自体が破損した場合は、その修繕費も必要となります。
家賃収入≠儲け
家賃が毎月100万円入ってきたとしても、年間1,200万円支払いがあれば、収益はとんとんになります。
また、年間収益が100万円あっても、修繕費等で、10年間で1,000万円かかるとしたら、これまたトントンになります。
そう考えるとアパート経営というのは、単に家賃がいくら入ってきたかということが重要なのではなく、実際にどれだけ儲かったのかが大切になるということができます。
そしてそれも、単年や数年程度でどうのこうのというよりは、10年、20年、30年経ったときどうかという長い年月で物事を見る必要があります。
表面利回りとネット(実質)利回り
これまで見てきたとおり、アパート経営の場合は、他の投資と比べて、初期費用以外の運営費用が必要になるので、投資利回りを考える時には、表面利回りとネット利回り(実質利回り)と分けて考える必要があります。
よくアパート経営を販売している会社は、このうちの表面利回りをとって、「年利10%で運用できますとか、初期費用は10年で回収できますよ」とかいいます。
しかし、表面利回りは、あくまでも家賃収入なのであって、大家さんとしてはここから諸経費である、管理修繕維持費用を差し引きしたものが利益ということになります。(会社で行っても売上げがいくら高くても、経費が多くて利益がでなければ、意味がないのと同じです。)
従って、大家さんが見るべき数値は、この表面利回りではなくて、ネット(実質)利回りのほうということができます。
表面利回り=年間家賃収入合計÷初期投資費用
ネット(実質利回り)=(年間家賃収入−管理修繕維持費用)÷初期投資費用
なので、この実質の利益をベースにした利回りを元に、儲かるアパート経営と儲からないアパート経営を見極めて頂きたいと思います。では、儲かるアパート経営と儲からないアパート経営は、何が違うのでしょうか。
アパート経営が成功するための条件
- 立地
- 立地
- 立地
3〜4が立地
5番目の要因が立地
・・・
です。笑
つまり、立地がほぼすべて、です。アパート経営で成功するためには、よい立地でニーズにあった建物を建てることが必要ということになります。
逆に、自分の土地が空いているからという理由で地方都市の駅から遠いところに建てたアパートは、想定より入居者が集まらなかったり、家賃がものすごく安価だったりして、かなり厳しい状況になっている人もいます。
私がお会いしたさまざまなオーナー様の中には、6室中1室しか入居者がいなくて、ローンを返すのに一苦労だという方もいました。一方で、都心の人気の場所では、築30年を経過するような古い建物であっても、入居者で埋まっていて、空室ができてもすぐ埋まるようなアパートもあります。
立地がすべて、でもない
こう考えると、立地がすべてではないですが、立地がすべてというくらいに立地は重要ということになります。
※ただし、しあなたが立地の悪い場所にアパートを所有しているとしても諦めないで下さい。その立地に併せた施策で、80%以上の確率で入居率を高めることは可能になります。
競合条件とニーズの強さと将来的な受給バランス。そして建物のクオリティが大切
このように、アパート経営は立地がほとんどすべての要因だ(けれど、他にも要因はある)ということを解説しました。要重要なことは、アパートも他のビジネスと同じように、需要と供給のバランスによって、入居率や家賃が決まると言うことです。
なので、よい立地というのは、賃借り人が多い人気のエリアでありかつ、供給が少ない(アパートやマンションが少ない)エリアということができます。需要があって、供給が少なければ、当然のことながら、空室率は低くなって家賃が上がることになりますし、重要が少ないのに供給が多ければ、空室が出ることはほとんどなく、家賃の値下げ合戦が繰り広げられることになります。
そういう意味では、アパート経営は立派なビジネスであるということができます。
だから、アパート投資と一部では言うことはありますし、広いくくりで考えるとアパート経営は、不動産投資の一部ではあるのですが、アパート「経営」というのだと思います。
土地活用としてアパート経営をする際の注意点
ここまで、アパート経営とは何なのかを解説してきました。
ここからは、アパート経営をする場合の注意点についてお話していきます。これからアパート経営をしようかどうか検討している方向けの内容になります。それ以外の方は、他の記事をご覧になって頂けたらと思います。
少し長くなりましたが、あと少しで一旦おしまいになりますので、もう少々お付き合いください。
なぜ、何のために?
まず、あなたがアパート経営をしようと思っているのはなぜなのか、しっかりとご確認頂けたらと思います。
投資としてお金を運用したいからなのか、ローンを組んで、将来の資産を効果的に作って行きたいからなのか、それとも単に空き地を所有していてそのまま空けていてもまったく無駄だからなのか。
その目的によって検討すべきことは違います。ただし言えることは、先の例でいくと、最後の空き地を所有していてアパート経営を検討している方以外については、投資についての一般的な検討材料が注意点としてあげられます。
一般的な注意点とは
投資における一般的な注意点というのは、アパート経営独特のメリットとリスクはなにかを見極めること、次に具体的な物件のメリットとリスクを見極めること。そして、長期的に見て、その投資はどの程度の利益をシビアに見て稼げるのかという点です。
また、当初の設計や計画は、あくまでもシミュレーションに過ぎないので、当たることもあれば、当たらないこともあります。最悪の場合、どのような事態になるかもしっかりと検討することが必要ですし(もちろんその際の備えも必要)、業者のいうことを単に真に受けることは避けましょう。そいう意味では、複眼的にシミュレーションした方がよいケースも多々あります。
その業者が言っていることシミュレーションは本当なのか?実現可能性はどうなのか?
その当たりについて知りたい場合は、セカンドオピニオンサービスをぜひご利用下さい。防げる失敗をしなくても済むようになりますし、プランを実行する場合も安心して決断することができます。
アパート経営に適した土地≠あなたの土地
一方で、土地が空いているからアパート経営をしようと考えている方には、もっともっと注意が必要です。確かに、今空いている土地をそのままにしておいては、もったいないです。土地の無駄遣いだと思いますし、そこから何も価値が生まれません。
だからといって、うかつにアパートを建ててしまうと、万が一空き室が埋まらなかった場合に、もっともっと大きな経費が出ていくことになり、損失を増やすことになります。
確かに、うまくいけば、アパート経営はよい投資になりますし、経費を落とすことができて節税もできるでしょう。しかし、入居者がつかなかったらアパート経営なんて絵に描いた餅になります。
たまたま空いている土地=アパート経営に向いた土地
なわけはないんです。アパート経営に向いて土地は、これまでお伝えした通り、需要があって供給が少ない立地のことを指しています。あなたの土地=アパート経営に適した土地とはいえないのです。
あなたの目的≠業者の目的
一方で、アパート経営を販売している建設業者は、アパートを建てることで儲けます。あなたの土地にアパートを建てることが仕事なのであって、あなたを儲けさせることが仕事なのではないのです。
なので、業者の口車にのるのではなく、しっかりと検討しリサーチして性格にシミュレーションした上で、本当にアパート経営が有効なのか、もしかしたら他の投資(太陽光発電や風力発電、バイクガレージや駐車場など)のほうが向いているのではないか検討することが必要になるのです。
あなたの目的を遂げるのはどうしたら効果的かをしっかりと検討してください。