全国的にアパートにおける空室率が上昇し、問題視されていたのは、2012年頃の話です。そこからアベノミクス効果によって、「一見効果を出したように見える形」で、空室問題は沈静化しているようです。
しかし、その内実はほとんど変わっておらず、特に地方をはじめとして人口が減少しているようなエリアにおいては、アパートはもちろん、マンションも空室率はうなぎ登りで上昇しており、慢性的にオーナーさんを悩ませています。
日銀からも警告
ただ、東京、大阪、福岡等大都市圏における空室率は、現状落ち着いているので、問題となっていませんが、2020年という東京オリンピックの終了と人口減少社会という構造的な問題を内包している中で、新築のマンションやアパートが建築されているのは、大空室時代の到来を予言しているかのようです。
折しも先般(2017年7月20日頃)、日銀は異例の賃貸住宅の新築に対して注意喚起を行っていました。その内容は以下のようなものです。
「賃貸住宅向けの不動産融資が非常に活発化しているが、地方郊外の築古物件を中心に賃貸市場は空室率の上昇と家賃の下落を記録している。また、首都圏の特定エリアを中心に投資が集中して、空室率が2015年以降上昇している報告があり、サブリースによってまだ表沙汰になっていないけれど、今後表面化する可能性もある」というものです。
※詳しい内容について知りたい方は、「賃貸市場が危ない」日銀が異例の警鐘をご覧下さい。
空室率が低いのは本当?
ここで何が言いたいかというと、現在景気がよいため、空室リスクは小さくなったと思っている方も多いと思いますが、実はそれは単なる見せかけだけのことです。今後、これまでよりもさらに深刻な空室問題は構造的な問題として発生する可能性は極めて高いと言うことをお伝えしたいのです。
そうなれば、一般的に賃貸需要としてマンションよりもアパートのほうが総じて賃料も安くて空室率も高くなりがち(建物の祖性質上仕方ないこと)ですので、アパート経営をされている方は、空室対策をしっかりと検討していく必要があります。
どう対策をすればよい?
じゃあ、空室対策は何をすればよいかということなんですが、ただ闇雲に空室対策でよいとされることを取り入れるだけでは十分ではありません。例えば、賃貸住宅フェアなどにいくと、「空室対策に」と題して、インターネットの使い放題であったり、室内もの干し施設だったり、防犯カメラだったり、さまざまなグッズや小手先のテクニックが紹介されています。
たしかにこれらの施設や設備などは、あれば便利で、そのことによって、入居者に選ばれる可能性は高くなるかもしれません。
しかし、例えば周りに、インターネットも使い放題で室内物干し台がついていて防犯カメラが整備された新築マンションがたくさんあって、それらの賃料があなたのアパートよりも安価な場合、あなたがこれらの設備をすべて導入してもあなたのアパートの空室率を改善することはできないでしょう。
空室対策でまず一番にすべきこと
なので、空室対策ですべきことは、まずは現状分析です。
あなたの物件があるエリアで、競合する物件はどういう状況にあるのか。
どのくらい空室があって、どのくらいの条件で募集がかかり成約しているのか。あるいは、少しエリアを広げて、近隣の物件はどうなのか。
例えば、あなたの物件がある最寄り駅からの同じくらいの徒歩分数から、さらに広げたり、縮めたり、隣近所の駅や、一番近いターミナル駅の同じくらいの徒歩分数での状況などです。
これらは、データをとればかなりの精度で空室対策ですべきことを調査することが可能ですので、まずはしっかりとリサーチすることが大切です。
必然的にすべきことをやる
その上で、あなたの物件に足りない物、対象ユーザーがあなたの物件に求めるものを明確にしてそこを対策してあげて下さい。
例えば、家賃を下げることが最も効果的だと判断できることもありますし、リノベーションをすることで高く家賃を取ることが可能な場合もあります。あるいは、駐車場や駐輪場を整備してあげることだったり、3点ユニットをセパレートにしてあげるだけでもよい場合だってあります。
きちんとしたリサーチを元に対策をするので、単なる経験や勘と違って成功率が格段に違うことになります。
さまざまなケースがありますので、まずはしっかりとリサーチすることが大切です。
どうしようもない時も
最悪の場合、売却することも視野に検討することも必要な場合などもあります。
例えば、九州大学が少し前に移転したのですが、旧キャンパスがあった近隣ワンルームマンションは、一気に需要がなくなり、本当に価値がなくなってしまいました。空室率50%以上とかありえない数字を出しています。
それもそのはずです。
その辺りのワンルームは、九州大学の学生さんが住んでいたのに、そのキャンパスが移転してしまったので、需要がなくなってしまったからです。このような場合は、完全に間取りを変えるかあるいは事情がなければ、もう売却してしまったほうが早いケースもあります。
いずれにせよ、私どもでは、空室のアパートに対して、詳細な現地調査、近隣リサーチをした上で、どういった空室対策をすることが効果的かを、無料で、診断しております。もし、アパートの空室でお悩みがありましたら、ぜひ一度ご相談下さい。