サブリース契約を結べば、空室リスクをサブリース会社が担保してくれるのでオーナーにとっては、メリットがあります。
しかし、不動産経営をしていく中で、急遽まとまった資金が必要になったり、賃料が減額となって収益性が得られなかったりして、売却を考えることもあると思います。そのままスムーズに売却できれば良いのですが、サブリース物件ということで、買い手が付きにくかったり、売却時の価格が安くなったりするケースが多々あります。
そんな時に、少しでもオーナーの希望通りに売却をするにはどうすれば良いのでしょうか?サブリース物件に付加価値を付けて売却する方法はあるのでしょうか?この記事で詳しくまとめました。
サブリース物件を売却するときに問題となること
まずサブリース物件を売却する際に、以下3つのことから、希望通りに売却を進められない場合があります。
それぞれ説明しますので、ご確認ください。
- サブリース物件の収益性が低いこと
- サブリース契約に対して、難色を示す買い手がいること
- 物件価格が安くなること
1.サブリース物件の収益性が低いこと
一つ目が、サブリース物件の収益性が低いことです。
賃貸管理方式には、サブリース契約以外に、自主管理・一般管理・集金代行、3つの形式があります。(詳しくはこちらの記事を参照ください。参照記事:不動産経営で賃貸管理をする場合はどの管理形態を選べばよいの?)
それぞれ管理形態で、満額の家賃収入か、管理代行費を引いた家賃収入がオーナーに入ってきます。しかし、サブリース契約の場合、満額家賃の大体80~90%が賃料としてオーナーに入ってきます。
※詳しくは以下の記事を確認ください。
参照記事:
よって、サブリース物件は他の物件と比べて収益性が落ちてしまいます。
不動産経営は、投資ですので投資した資金から、より多くの利益を挙げて資産を増やしていくことが目的にあります。
収益性が低いことから、投資用としてサブリース物件が選ばれないことがあります。
2.サブリース契約に対して、難色を示す買い手がいること
次に、サブリース契約に対して悪いイメージがあり、難色を示す買い手がいることです。
昨年2018年は、サブリースに関する問題が大きく浮き彫りになった年でした。
かぼちゃの馬車シェアハウス投資のサブリース賃料の不払い、サブリース会社の経営破綻。そこから、スルガ銀行の不正融資問題にまで発展した事例があります。(参照記事:シェアハウス「かぼちゃの馬車」の問題について)
また、それ以前にも、レオパレス21に対して、サブリースに関する問題から集団訴訟に発展したケースもありました。(参照記事:レオパレス21のサブリース問題)
サブリースに関する問題
- サブリース会社の不正行為
- オーナーに対しての賃料不払い
- サブリース会社の経営破綻
以上のような問題から、買い手のサブリースに対するイメージが悪くなり、サブリース物件に対して難色を示す買い手もいます。
※しかし、これらはサブリース自体が問題というよりは、賃貸管理を行っていたサブリース会社の対応やサービスに問題があります。一概にサブリース契約自体が悪いとは言えません。サブリース契約にも一部メリットもありますので、こちらの記事も参照ください(参照記事:サブリースのメリットは何?)
3.物件価格が安くなること
サブリース物件の収益性の問題から、売却時の物件価格が安くなる場合があります。
以下、サブリース物件がどのようなロジックで、売却時に価格が安くなるか示しました。
中古ワンルームマンション、家賃収入9万円とサブリース賃料8万円の場合を具体例として挙げています。
- 物件:中古ワンルームマンション
- 家賃収入:9万円
- サブリース賃料:8万円
- 表面利回り:5%
家賃収入9万円とサブリース賃料8万円、それぞれの場合で表面利回り5%を得るためには物件価格がいくらだったら実現できるのか?計算しました。
- 表面利回り:5% 家賃収入:9万円
- 表面利回り:5% サブリース賃料:8万円
参考に表面利回りを算出する計算式を以下に示します。
1.表面利回り:5% 家賃収入:9万円
家賃収入9万円で表面利回り5%を実現するための物件価格を以下に示します。
2.表面利回り:5% サブリース賃料:8万円
サブリース賃料8万円で表面利回り5%を実現するための物件価格を以下に示します。
上記の結果より、サブリース賃料8万円の物件で表面利回り5%を得るためには、収益性が低いことから物件価格を安くしなければいけません(上記の例だと物件価格:19,200,000円)。つまり、サブリース物件を売却する際は、売却時の評価が低くなるのです。
少しでも高く売りたいオーナーにとって売却時に物件価格が安くなることは、ネックとなってしまいます。
サブリース物件売却時の問題点・まとめ
まとめると、サブリース物件売却時に3つの問題点があります。
- サブリース物件の収益性が低いこと
- サブリース契約に対して、難色を示す買い手がいること
- 物件価格が安くなること
サブリース契約を解約できるかどうかが重要になる
以上のことより、サブリース契約を結んでいることで、売却時にさまざまな問題を抱えることになります。よって、まずはサブリース契約を解約できるかどうかが極めて重要です。
付加価値を付けて物件を売却する
前述したように、サブリース契約を結んだままだと、売却時の物件価格が下がります。しかし、サブリース契約を解約できれば、高い物件価格で売却できます。
前述した例を挙げると、中古ワンルームマンション、表面利回り5%、家賃収入9万円、サブリース賃料8万円、この二つの物件価格で比較し計算すると売り手の利益は240万円になります。
- 表面利回り:5% 家賃収入:9万円 → 物件価格:21,600,000円
- 表面利回り:5% サブリース賃料:8万円 → 物件価格:19,200,000円
つまりサブリース契約を解約すれば、240万円の付加価値を付けて、売却できることになります。
240万円の利益をどう活用するか?
上記の場合、サブリース賃料で売却した場合は物件価格が、サブリース賃料でない場合と比較して240万円下がることになります。
つまり、契約を解除して適正な価格で売却できれば、240万円のプラスの利益を得られたことになります。
ここで、あなたに以下2つの選択肢を考えていただきたいと思います。
- 240万円をそのまま受取る
- 240万円を新たな物件に再投資する
1.はそのまま利益を得ることになります。一方、2.は240万円を新たな物件に再投資する。例えば240万円を自己資金として以下の中古ワンルームマンションに再投資した場合を考えてみてください。
※投資した資金は売却で得られた利益の240万円
物件条件
- 物件:中古ワンルームマンション
- 築年数:12年
- 物件価格:2,000万円
- 購入時諸費用:60万円
借入条件
- ローン借入:1,820万円
- 借入金利:1.992%
- 借入期間:35年
収支条件
- 家賃収入:90,500円
- 管理費:7,800円
- 修繕積立金:6,300円
- 管理代行費:3,240円
- ローン返済:60,215円
- 月間収支:12,945円
- 固定資産税:59,000円
- 年間収支:96,340円
上記の物件に再投資をして、ローン完済35年後までの投資利益と、ローン完済後マンションの建物の寿命が尽きるまでの築60年までの収益性を計算してみます。
ローン完済35年までに得られる投資利益:3,371,900円
ローン完済までに得られる投資利益は337万円、投資した資金240万円に対する利益率は140.5%です。
35年間、投資をして既に利益を十分上げていますが、ローン返済がなくなり、マンションの寿命築60年まで家賃収入を受け取れると仮定すれば、更に投資利益を得られます。
※ローン完済後、家賃が15%下落したと仮定します。そうすると家賃収入が90,500円から→76,000円になります。
ローン完済後の収支条件
- 家賃収入:76,000円
- 管理費:7,800円
- 修繕積立金:6,300円
- 管理代行費:3,240円
- 月間収支:58,660円
- 固定資産税:59,000円
- 年間収支:644,920円
年間収支が64万円となり、マンションの建物の寿命が尽きるまでの13年間で、838万円の利益を得れます。
マンションの建物の寿命が尽きるまでの投資利益
つまり、240万円を元手にして中古ワンルームマンションに再投資すれば、上記の物件例だと、11,755,860円まで資産が増えます。
建物の寿命が尽きるまでの投資利益
総括すると、投資した資金240万円を→1,175万円 4.89倍に増やすことが出来ます。投資した資金に対する利回りは、489%です。
サブリース物件を売却した利益を自己資金にして、正しくマンション経営を実施していけば、確実に利回りを得て資産形成が出来ます。
※実際は、空室リスク、家賃下落率、設備劣化から発生する修繕費も考慮して算出します。今回は計算をわかりやすくするためにこれらの支出項目は省略しています。
サブリース契約を解約するにはどうすれば良い?
サブリース契約の解約、といってもそれが簡単には解約できないので、多くのオーナーは売却できずに頭を抱えています。
サブリース契約は、借地借家法が適用され、貸主より、借主の立場が守られています。そのため、貸主であるオーナーが一方的にサブリース契約を解約したいと言っても、立場が強い貸主の一方的な意見は通らないからです。解約には正当事由が必要になります。
サブリース契約を解約できるかどうかは、契約書の内容を確認しなければ判断できません。場合によっては、途中解約ができない契約内容になっている場合もあります。
国土交通省が定めている契約書のひな型では、6ヶ月前に告知することで解約できるようになっています。
契約書のひな型
引用元:国土交通省サブリース契約書ひな形
各会社によってサブリース契約の内容は異なり、国土交通省のひな型に即して作っているところもあれば、一方で、独自の契約内容を作成しているところもあります。
まずは、契約内容を確認して、サブリース会社に問い合わせてみることです。
※サブリース契約の解約については以下の記事を参照ください。
参照記事:
サブリース契約を結んだまま売却する
また、場合によってはサブリース契約を解約できず、契約を結んだまま売却するしかないケースもあると思います。
前述したように、サブリース物件は、他の物件と比較して収益性が低いことから、売却時の価格評価が下がります。
売り手としては、少しでも高く希望価格で売却したいでしょうが、現実問題そうもいかない場合があります。物件の売却は、物件に対する需要があって初めて成り立つものであり、いくら高く売却しようと思っていも、買い手が付かなければ意味がないからです。
売り手も、ローンの残債があったり、得たい利益があり、売却希望価格があるでしょうが、この場合ある程度は希望価格のハードルを下げることも念頭に置いておきましょう。
※しかし、不動産価格は市場の需要と供給や、物件条件によって、価格が上下する場合もあります。すぐに売却を決めるのではなくて、そのまま物件を所有し長い目で見て、不動産価格が上がった時に売却を決めるのも選択肢として良い場合もあります。
まとめ
以上のことからまとめると、まずはサブリース契約を解約するために、契約内容を確認し、管理会社に問い合わせて下さい。
そこで、うまく話しがまとまらなければご相談ください。実際に過去、私たちがサブリース会社とお客様の間に入り、サブリース契約をうまく解約できた事例が多くあります。
状況は人それぞれ異なり、一概に「こうした方が良い」ということは言えないので、現状を聞かせていただくことで最善の解決策をご提示できます。
前述したように、付加価値を付けて売却することで、必ずあなたにとってプラスになります。
相談は無料ですので、お気軽に以下問い合わせフォームからお問い合わせください。