マンション投資でワンルームとファミリー、どちらを選べば良いか相談をいただくことがあります。それぞれ物件価格や物件の特徴が異なるので、どちらを選んだ方が良いか、なかなか判断するのは難しいですよね。
この記事ではワンルーム、ファミリーそれぞれの特徴を挙げながら、マンション投資でどちらを選ぶべきか?解説しています。ぜひマンション投資をする際の参考にしてください。
ワンルームマンションとファミリーマンションについて
マンション投資の投資物件には、ワンルームマンションとファミリーマンションがあります。
ワンルームマンションは、基本的に単身の一人暮らしで住むマンションで、室内の専有面積は約18~30㎡ほどの広さになります。
ファミリーマンションは、基本的に夫婦世帯で住むマンションで、室内の専有面積は約60㎡以上の広さになります。
ワンルーム・ファミリーを選ぶ5つの判断基準
ワンルームとファミリーそれぞれ、室内設備の修繕や空室期間など異なる点がいくつかあります。
マンション投資で、ワンルームとファミリーのどちらを選ぶべきか?判断基準となる5つの項目を以下に挙げましたので、ご確認ください。
- 修繕費用
- 賃貸需要
- 結婚への意識
- 空室期間
- 利回り
1.修繕費用
マンションを運用していく中で、入居者が退去した際や、室内設備が壊れた際に修繕費用が掛かります。
室内設備は経年劣化しますので、どこかのタイミングで修繕が必要になりますが、できるだけ修繕費用は抑えた方が支出は少なく済みます。
修繕とは具体的に、経年劣化したクロスを交換したり、浴室乾燥機を交換したり、ガス給湯器を交換したり、といったことです。
ワンルームとファミリーを比較すると、ファミリーの方が比較的に室内設備が多くなります。ワンルームは1K・1DKといった間取りで、キッチンが1口コンロであったり、エアコンが1台設置、といった設備が主ですが、ファミリーは異なります。例えば、2LDKの間取りで、エアコンが室内に2つあったり、キッチンに三口コンロがあったり、クロスの面積が広くなったりします。
設備が多かったり、クロスの面積が広い分、ワンルームよりもファミリータイプの方が、修繕や原状回復費用が高くなる傾向があります。
もちろん、ファミリーだからといって、一概に室内設備の修繕費用が高くなるわけではありませんし、室内の使い方によっても修繕のタイミングは異なります。しかし、トータルで見て比較的ファミリーの方が修繕費用が高くなります。
参照記事
2.賃貸需要
まず物件を選定する際に、賃貸需要は必ず確認してください。マンション投資をする上で物件に入居者が付くかどうかが一番重要であり、賃貸需要が見込めなければ、安定収入には繋がらないからです。
例えば、ワンルームマンションを選んだとして、そのエリアで単身者の賃貸需要が見込めなければ収益は見込めませんし、ファミリーの場合も同様で、夫婦世帯の賃貸需要が見込めなければ収益は見込めません。
東京の事例
東京都の人口割合を例に解説します。
東京都は将来的に、単身者が増えると予測しています。2015年時点で、単身世帯の割合は、世帯数全体の47.39%を占めます。
引用元:東京都の人口、世帯、住居の状況
今後も単身世帯は増え続け、全世帯の内50%以上は単身世帯になると東京都は予測しています。一方、夫婦世帯も約50%を占めていますが、夫婦世帯は単身と比べて、マンションを購入している層も多いので、賃貸で住んでいる世帯は少なくなると予想されます。
東京都の事例で考えると、単身世帯の増加予想から、ワンルームマンションの賃貸需要が多くなると予想されます。
3.空室期間
マンション投資をする上で、空室期間が短ければ、その分収益を見込めますので、出来るだけ短い方が良いです。
空室期間は単身世帯の方が比較的、短くなります。
単身者は、物件を決める際に親に相談してから決める、誰かに相談してから決める、ということがほとんどなく、物件が良いと思えば、すぐ決断するので空室期間は比較的短くなります。
一方、夫婦世帯は空室期間が比較的長くなる傾向があります。決定権者が複数いるので、決断までに時間がかかるからです。
例えば、夫妻、子供がいるご家庭を考えています。妻の意見は近くにスーパーがあるかどうか?学校の区域がどうか?キッチンの広さがどうか?といった意見があり、一方、夫は職場から近いかどうか?といったように意見が錯そうする場合があります。この場合、なかなか意見がまとまらず、複数の物件を見て決めることになります。結果、空室期間が延びる要因になってしまいます。
しかし、ファミリーマンションは一度決まると数年間、長期間に渡って住み続けてもらえるメリットもあります。
4.未婚率の増加
過去から、現在までの年齢別の未婚率の変化を見ることで、将来的に単身世帯が増えるか、夫婦世帯が増えるか予想できます。
以下のグラフは、厚生労働省の結婚に関する意識調査の中から抜粋したもので、1950年~2010年までの年齢別の未婚率の推移です。各年齢で未婚率が増えています。
年齢別未婚率の変化
引用元:厚生労働省結婚に関する意識
上記のグラフを見ると、1980年は50歳で未婚の方が、男性で全体の2.5%、女性で4.6%となっています。
一方2010年は、男性が全体の19.3%、女性で9.9%となっています。
この30年で、50歳での未婚率の割合が、男性で約9倍、女性で約2倍まで増えています。また、50歳より若い年齢でも未婚率は年々上がっていることがわかります。
更に、現在の20代30代の若者世代を中心に、結婚願望を持たない人も増えてきており、今後も単身世帯が増えていくことが予想されます。
単身世帯が増えていくということは、ワンルームマンションへの需要が高まると予想できます。
5.利回り
ワンルームとファミリーの利回りについて確認します。ワンルームとファミリーを比較すると、ワンルームは物件価格と家賃が安くなり、一方でファミリーは物件価格と家賃は高くなります。
※利回りについて詳しくは以下の記事を参照ください。
参照記事:
以下、東京都内のワンルームとファミリータイプの一例を挙げ、比較しました。
ワンルームタイプ
- エリア:東京都内
- 価格:1,890万円
- 利回り:5.52%
- 築年月:2008年10月築11年
- 専有面積:25.56㎡
- 家賃:8.7万円/月
ファミリータイプ
- エリア:東京都内
- 価格:3,380万円
- 利回り:5.25%
- 築年月:2008年8月、築11年
- 専有面積:60.37㎡
- 家賃:14.8万円/月
利回りは物件によっても異なりますが、一般的にワンルームとファミリーで利回りが大きく変わるということはありません。
ワンルームマンション規制について
当サイトの別の記事でも解説しましたが、東京23区では、ワンルームマンションの建設を規制する、ワンルームマンション規制が設定されています。
※詳しくは以下の記事を参照ください。
参照記事:
この規制によって、新築のワンルームマンションの建設が制限されています。また前述したように、東京都は全体の世帯数の約半分が単身世帯です。更に今後も単身世帯が増えると予測しています。
供給されるワンルームマンションの数は制限され、単身世帯が今後も増えるということは、中古ワンルームマンションの賃貸需要が見込めるということです。
ワンルームマンション規制、東京都の世帯数の変化から、東京23区内でマンション投資を実践する場合は、ファミリーよりもワンルームの方が有利と言えるでしょう。
ワンルームは家賃を下げても入居者が付きやすい
マンションは築年数が経過すると、家賃が下落していきます。入居者のニーズを考えると、新築または築浅の物件で充実した設備の物件を選ぶ方もいれば、とにかく家賃が安くても良いから職場から近い物件が良い、など住まいに対して求めるものは人それぞれです。
夫婦世帯は、夫の職場との距離や妻の日常生活のことや子供の学区のことなど、譲れない条件がさまざまあるので、ただ単純に家賃を下げれば入居が付く、というわけではありません。
一方、単身世帯は住居に拘り、新築や築浅物件が良い、という方もいれば職場から近ければ安くても、築年数が経っていても問題ない、などさまざまなニーズがあります。そのため、家賃を数千円下げれば入居が付く、といったケースもあります。
ファミリーも家賃を下げれば入居が付く場合もありますが、ワンルームの方が比較的ハードルは低くなります。
ワンルームかファミリーのどちらが良いのか?
以上のことから、ワンルームかファミリーのどちらが良いか総合的に考えると、以下の理由からワンルームマンションの方がマンション投資として効果的だと言えます。
- 修繕費用や原状回復費用が抑えられること
- 空室期間が短いこと
- 将来に渡り、単身世帯が多く見込まれること(各投資エリアによって、単身世帯か夫婦世帯の需要は異なります)
- ワンルームはファミリーと比べて入居付けのハードルが低いこと
一概にワンルームだから絶対良い、というわけではなく前述したようにファミリーは一度決まると長期的に住んでもらえる場合があるので、良い面もあります。ですが、総合的に考えると、マンション投資ではワンルームマンションを選ぶことをおススメします。
物件の選定は必要
とはいっても、ワンルームマンションなら全て投資に向いているわけではなくて、賃貸需要が見込める物件を選定しなければいけません。
特に以下の記事で解説している、マンション経営5つの条件を押さえることが、長期的に家賃収入を得る上で重要であり、その条件を押さえたワンルームマンション物件を選定する必要があります。
参照記事
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