サブリースを正当な理由なく解約して、マンションを売却できた具体的な事例

ブリース契約をしているオーナー様によっては、「ローンと管理費や修繕積立金」の支払いで、毎月の収支がとても厳しく、辛い思いをされている方も多くいます。

このようなオーナー様の中には、毎月の「手出し負担※」が大きいために、「マンション自体を売却してしまいたい」と考えられるケースもあります。

ところが、サブリース契約が締結されているマンションは、買い手が付きにくくなるため、そもそも売却できなかったり、売却できたとしても、非常に安価な金額でしか成約できないケースもあります。

サブリース契約物件売却時の注意

  • そもそも買い手が付かない可能性がある
  • 相場より安価にしか売却できない可能性がある

※手出しとは、毎月の収入と支出の差が、マイナスになっていて、収入より支出が多い状態の実支出のことを指します。

サブリース物件が安価にしか売却できない理由

サブリース物件が安価にしか売却できない理由

一般にサブリースは、市場家賃からサブリース業者の空室リスク分の費用も含めた利益を差し引きして設定される賃料なので、そもそもの家賃に比べてかなり安価な金額が設定されています。

サブリース料金=家賃相場-(業者利益+空室リスク)

投資不動産を売買するには、基本的には金融機関のローンを組めることが前提としてあります。金融機関のローンは、物件の収益性を元に担保価値を算出して、その価値を元に「いくらまでローンを組むことができるのか」というローン評価を定めます。

このローン評価は、「収益還元法」といって、そのマンションが年間いくら家賃収入を得られるのかという収益・利回りから逆算して、算出されることになるのが一般的です。

従って、家賃が安いということは、物件のローン評価が下がることを意味しており、ローン評価が下がるということはそのマンションの売れる価格が下がることを意味するわけです。

物件の価格≒金融機関の評価=家賃収入からの逆算

以上のことからサブリースが組まれている投資マンションは、価格が安くて売れにくかったり、そもそも誰も買いたがらなかったりするわけです。

※サブリースについての詳しい内容は、サブリースのデメリットや問題点とは?をご覧ください。サブリースのそもそもの仕組みやその問題点などを詳しく解説しています。

売却したい場合、サブリースは外さないと損!

なので、サブリース契約を組んでいるオーナーさんがマンションを売却したいと思うと、必然的に売却前にサブリースを解約するべきということになります。

ところが、サブリースというのは、オーナーさんを大家さん(業者側)として、サブリース業者が賃借人(消費者側)と結ばれた借家契約になるので、「相応の理由」がなくて簡単には契約を解除できないケースが多くあります。

サブリース 相場

国土交通省が定めるガイドラインでは、サブリースを解約するための条件例を提示していますが、実情としては大家さんのほうからは解約できない内容にしている契約も多くあります。また、そもそも国土交通省が提示している解約条件も、月額サブリース料金の6ヶ月分を支払うことで契約を解除できるという、なかなか厳しい契約になっています。

※不動産に関する法律は、本来は弱者である「借家人」を守るように出来ているため、借家人であるサブリース業者に有利な様に設定されているわけです。

オーナーとサブリース業者の関係では、サブリース業者=入居者の立ち位置

以上のことから、もうマンションを売りたいのに、サブリース契約を解除できないため、マンションを売るに売れず、毎月数万円単位の赤字を垂れ流し状態で、泣く泣くマンションを所有し続けているオーナーさんが多くいらっしゃるわけです。

※サブリースの解約についての詳しい内容は、サブリース契約を解約/解除するにはどうしたらよい?も合わせてご参照ください。

サブリース契約を解除することは本当にできないの?

以上のような背景から、当サイトには「サブリースの解除」や、「サブリース物件の売却」に関する相談や依頼が数多く寄せられており、どうしたら問題解決をできるか、試行錯誤してきました。

実際に、すべての問題を円滑に解決できているわけではありません。

地道にサブリース業者と話し合ったり、弁護士を入れて対処したり、本当にさまざまな方法を用いて、いかにしてサブリース業者との契約を解除して、より高く物件を売却できるのかを探っている状況です。

そんな中で、サブリース業者との粘り強く交渉することによって、「正当な理由なく」サブリースを解除できた事例を紹介します。

2019年の事例なので、同じ悩みを持つ方へ少しでも明るい希望を見いだしてもらえればと思っています。

「正当な理由なく」サブリースを解約して、売却益を出した事例

「正当な理由なく」サブリースを解約して、売却益を出した事例

この事例は、弊社で取り扱ったものですが、個人のプライバシー守り、サブリース業者へのバッシングを避けるために、「匿名」かつ「サブリース業者の名前」、それらを特定できる可能性が発生する「物件名」を伏せて、お伝えします。

今回の事例は、オーナー様(A様)が、弊社で発送しているDMを通して当サイトへアクセス、お問い合わせ頂きました。この物件(物件αとします)は、東京都中央区の駅徒歩5分の好立地にある築15年程度で20㎡ほどのワンルームマンションです。

物件は、分譲したディベロッパーの関連会社が賃貸管理しており、サブリース契約していました。

事例情報

物件α:東京都中央区の駅徒歩5分・築15年ほど・20㎡程度のワンルームマンション

オーナーA様から聞いた当時の状況

オーナーA様の声

「分譲当初は、最初は保証家賃が82,000円で毎月のマイナスは2万円だったものが、保証賃料が段階的に下がり、現在 家賃保証67,000円しかもらえていない。

この物件を購入した不動産会社は倒産してしまい、家賃が2~3ヶ月滞納して振り込まれない時もあった。現在は、毎月5万円もの持ち出しが発生している。

正直、毎月の負担がきついので、売却したいと考えている。ただ、どれくらいの価格でうれるか分からない。残債は1,740万円あり、売却益が多少逆ザヤになってもいいので、売却できればもう売って終わりにしたい。

年間50万円以上の持ち出しなので、手取り売却額が1,690万円で売れるならそれでも良い。」

との要望で、弊社へ売却依頼を頂きました。2019年2月2日のことです。

オーナー様の背景

  • 新築で購入
  • 当初2万円の手出し
  • 保証賃料下がる
  • 現状賃料:67,000円
  • 家賃の滞納歴あり
  • 分譲ディベロッパーは倒産
  • 毎月の持ち出し50,000円
  • 残債:1,740万円(2019年2月時点)
  • 手取り1,690万円以上で売却希望

物件αは、80,000円以上の家賃設定を見込めるマンションなのですが、家賃保証が67,000円では、おおよそ20%も賃料が安いため、ローン評価も低く希望の価格で売却できる見込みはありませんでした。

サブリース業者との交渉スタート

サブリース業者との交渉スタート

なので、まずは、サブリース業者と交渉するところからスタートしました。私から業者へ送ったメールは次のようなものです。

「この度、貴社が賃貸管理の「物件α」のオーナー、A様から売却の依頼を受け、A様と弊社で専属専任媒介契約を締結しました。売却に伴い、貴社との家賃保証契約の解除についてA様から委任を受けましたので、書面にて通知いたします。」

すると、同日、サブリース業者から返信が来ました。

『賃貸借契約において賃貸人からの解約申出が認められる為には、借地借家法第28条により「正当事由」が必要と定められており、「売却希望」の理由では「正当事由」とは認められません。したがいまして、賃貸借借上契約解除申込書をご提出されたとしても、現時点では解約を受理することは出来ません。以上、よろしくお願い致します。』

予想通りの展開で、その後、不動産業者の倒産時に家賃の不払いがあったことなどを理由に解約を交渉するも、態度は変わりませんでした。

弁護士へ相談した結果

弊社の顧問弁護士に相談したところ、次の回答がありました。

「滞納があった時期を詳しく知りたいのと、それを基に、弁護士から正当事由を主張する文章を内容証明で送ることはできる。それを理由に、サブリース業者からは賃料が振り込まれていないので賃料未納ということを主張する。その内容証明通知には約35,000円がかかり、弁護士が入ってさらに深い交渉になってくると別途で18万円かかる。」

ただ、それで100%サブリース解除できるかは分からないため、A様も弁護士を入れての対応には及び腰でした。

ここからさまざまに検討を重ねて、交渉を続けていった結果、2019年4月4日以下の条件でサブリース契約解約に応じるメールをもらいました。

サブリース契約解除確定!

サブリース契約解除確定!

「お世話になっております。サブリース業者担当の○○です。物件αについて、以下条件での解約に応じることは可能です。なお、当該物件の転借人は本年4月4日に退去しております。

  • 2019年4月4日付でサブリース契約解約
  • 設備交換費用(エアコン交換、キッチンス水栓交換、キッチンコンロ交換)121,500円をお支払い頂く
  • 解約金77,800円をお支払い頂く

設備交換費用については、サブリース続行を前提に今後、A様へお支払いする予定の賃料から相殺する予定でしたが、解約であれば、お振込頂く必要が生じます。なお、既に弊社が依頼した内装業者による原状回復工事が開始されておりますので、工事完了後の引き渡しとなります。

以上、ご検討のうえ、ご連絡頂きます様お願い致します。」

家賃アップして売却価格も大幅アップ

このメールで、サブリース契約が解除されることが確定しました。

内容をオーナー様に確認頂き、もちろん受諾して頂きました。結果、199,300円の出費でサブリース解除に成功、4月10日に振り込みし、解除完了しました。その後、さっそく4月13日に賃貸の募集を開始し、次の日に申込みを頂き、85,000円にアップしました。

オーナー様からすると67,000円→85,000円にアップ。集金代行手数料を引いても約15,000円の収入アップに成功。賃料あがったので、物件の評価も上がり、1,750万円で買い取らせて頂くことができました。

オーナー様としては、年間50万円の持ち出しが発生していた物件を、199,300円の支出で売却して残債が一切残りませんでしたので、非常に喜ばれていました。

結果のまとめ

  • オーナー実質負担:199,300円でサブリース契約解除
  • 85,000円で入居者確定:手取り家賃15,000円アップ
  • ローン評価上がり手取り1,750万円で売却(手出し0円で売却成功)

サブリース契約解除・売却成功した理由

サブリース契約解除・売却成功した理由

この事例が成功した理由をまとめると次のようなものです。

当初サブリースの解約に応じてもらえなかったものの、諦めることなく、解除する方法を求め続けたことがまず大きな点でした。また、たまたま4月4日に入居者が退去したこともタイミングがよかったといえます。

ですが、最終的に決め手になったのは、今回かなり試行錯誤した結果取り組んだとある交渉手法です。この交渉手法によって、管理会社は多少の違約金で交渉に応じてくれたと思います。

この交渉手法は、すべてのサブリース業者に適用できるものではないかもしれませんが、かなり有効であることは間違いありません。現に、他の案件でも水平展開して、よい方向に話しが進み始めている案件が増えています。

サブリース契約解除できた理由まとめ

  • 断られても諦めずに交渉した
  • たまたま入居者の退去があった
  • ある企業秘密の交渉術を使った

 

大神 健志大神 健志

もし、あなたがサブリース物件を持っていて、売却したいとお悩みでしたら、ぜひお問い合わせください。私たちが「今回取り組んだとある交渉手法」を用いて、「最短ルートの売却」を導きたいと思います。お問い合わせ頂いたからといって、必ず売却しなくてはいけないということはありませんので、お気軽にご相談ください。

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