不動産投資は、物件を購入し、それを人に貸して、家賃収入を得ていくことで資産を増やしていきます。
家賃収入が入ってきて、それが丸ごと手元に残るわけではなく、管理費・修繕積立金、管理代行費、ローン返済などのさまざまな支出があり、それらを差し引いて、最終的に手取り収入となります。
この実際のお金の流れがキャッシュフローです。
キャッシュフローについて
例えば、一般家庭のキャッシュフローを考えてみます。
既婚、夫は会社員、妻は専業主婦、子供がいるご家庭です。
毎月、給与が入ってきて、そこからさまざまな固定費が引かれ、最終的に自由に家庭で使えるお金が残ります。
家賃、携帯代、光熱費、生命保険料、各種ローン返済などの固定費、給与から固定費が差し引かれ、残ったお金が食費や子供の教育費、貯金等へ使われます。
不動産投資のキャッシュフローは、家賃収入から、管理費・修繕積立金、管理代行費、ローン返済等の支出が引かれて、手取り収入となるお金の流れです。
収入と支出の項目を以下に示しました。
収入
- 家賃収入
支出
- 管理費
- 修繕積立金
- 管理代行費
- ローン返済
- 固定資産税
実際の物件でキャッシュフローを計算
では、実際の物件でキャッシュフローを計算していきます。
物件情報
- 物件:中古ワンルームマンション
- 築年数:12年
- 物件エリア:東京都中野区
- 物件価格:2,000万円
- 購入時諸費用:60万円
借入条件
- ローン借入:2,000万円
- 借入金利:1.992%
- 借入期間:35年
収支条件
- 家賃収入:90,500円
- 管理費:7,800円
- 修繕積立金:6,300円
- 管理代行費:3,240円
- ローン返済:66,170円
- 固定資産税:59,000円
月間キャッシュフロー
年間キャッシュフロー
上記の物件では、月間・年間のキャッシュフローがそれぞれ6,990円/月、83,880円/年となります。
キャッシュフローに影響を与える要因
上記のように、月間・年間のキャッシュフローを計算していきます。
不動産投資のキャッシュフローは、決まっているわけではなく、さまざまな影響を受けて、良くなったり、悪くなったりします。
キャッシュフローに影響を与える3つの要因を確認しましょう。
- 空室
- ローン返済
- 設備修繕
1.空室
空室になると、家賃収入が入ってきません。
不動産投資を通じて、入居者が入れ替わるタイミングで、数ヶ月空室になることは多少あります。
しかし、入居者ニーズが低く、賃貸需要が見込めない物件だと、長期的に半年、1年と空室が続く場合もあります。
その空室期間は、月間・年間支出は手出しとなります。
物件の選定を誤り、賃貸需要が見込めない物件を選定してしまうと、家賃収入が安定せず、キャッシュフローが悪くなります。
2.ローン返済
ローン返済は、支出に占める割合が多いです。
ローンの借入額、期間、金利にもよりますが、支出の半分以上をローン返済が占めています。
借入金利が高くなると、返済額も増えるので、その場合キャッシュフローが悪くなります。
3.設備修繕費用
部屋内部の、ガス給湯器や換気扇、網戸、IHコンロなどさまざまな設備には、寿命があります。
大体、10~15年が設備の交換時期で、その際に修繕費用がかかります。
以下の表は、設備が故障した際の必要費用の概算です、ご確認ください。
設備の種類と故障した際の必要費用(工事費込み)概算
交換設備 | 必要費用 |
網戸 | 3,000~4,000円 |
換気扇 | 30,000~40,000円 |
IHコンロ | 40,000~50,000円 |
エアコン | 80,000~100,000円 |
給湯器 | 100,000~150,000円 |
電気温水器 | 200,000~300,000円 |
一回の設備交換で、数万円~数十万円の費用がかかる場合があるので、設備交換があった際は、支出が増えて、一時的にキャッシュフローが悪くなります。
さまざまな要因を考慮したキャッシュフローを計算
ここまで説明した内容を元に以下3点を考慮した、キャッシュフローを考えていきます。
- 空室
- ローン返済
- 設備修繕費用
物件は、上記で説明した中野区の中古ワンルームマンションです。
物件:中野区の中古ワンルームマンション
月間キャッシュフロー:6,990円
年間キャッシュフロー:83,880円
年間で空室が半年間発生した場合
年間で半年間、空室が続いた場合の年間キャッシュフローを考えていきます。
この場合、年間で-51万円のキャッシュフローとなります。
ローン借入金利が3.5%になった場合
借入金利が1.992%⇒3.5%になった場合は、キャッシュフローが以下のように変わります。
借入条件
- ローン借入:2,000万円
- 借入金利:1.992%⇒3.5%
- 借入期間:35年
収入・支出条件
- 家賃収入:90,500円
- 管理費:7,800円
- 修繕積立金:6,300円
- 管理代行費:3,240円
- ローン返済:66,170円⇒82,658円
- 固定資産税:59,000円
この場合、月間で-9千円、年間で-17万円のキャッシュフローとなります。
修繕費用が年間で50,000円発生した場合
年間で設備の修繕費用が発生して、50,000円必要になった場合は、以下のキャッシュフローとなります。
この場合、年間で-3.3万円のキャッシュフローとなります。
さまざまな要因を考慮したキャッシュフローについて
以上のように、上記3点が要因となってキャッシュフローに影響を与えます。
これらの要因について、無知なまま不動産投資を実践して、後から、キャッシュフローが悪くなり、赤字が続き、投資に失敗してしまう、ということもあります。
そのため、キャッシュフローを良くしていくためには、どうしたら良くなるのか?その要因を知らなければいけません。
キャッシュフローを良くしていくには?
キャッシュフローを良くしていくには、以下3点を押さえることです。
- 空室になりにくい物件選定
- ローン借入金利を抑えること
- 修繕費用を抑えること
1.空室になりにくい物件選定
まず、空室になりにくい、賃貸需要が見込める物件を選定しましょう。
物件の「立地環境」、「建物管理」の条件は確実に押さえておくべき項目です。なぜなら、入居者が物件を決める上で最も優先的に選ぶことだからです。
- 立地環境:入居者の利便性を考えて、駅から徒歩圏内で、なおかつ都心部へのアクセスも良いか?
- 建物管理:建物の外観や内観がきれいに清掃されて、資産価値が保たれているか?
継続的に入居者ニーズがあり、賃貸需要が見込めれば、空室率も低く、家賃収入が安定して入ってきます。
キャッシュフローでまず重要なのは、入居者が継続的について「家賃収入」を安定させることです。
空室になりにくい物件選定について詳しくは以下の記事でご確認ください。
参照記事:
2.ローン借入金利を抑えること
次に、ローン借入金利についてです。
前述したように、借入金利が高い場合と、低い場合では、月間・年間のキャッシュフローに大きな違いが生じます。
月間・年間では、数万円~数十万円、トータルで考えると、数百万円~数千万円の違いがあります。
数%金利が異なるだけで、収益差は大きくなります。
個人属性にあった、金融機関から融資を受けることが重要になります。
融資条件について詳しくは、以下の記事をご確認ください。
参照記事:
3.修繕費用を抑えること
最後、3つ目は修繕費用を抑えることです。
物件設備は年数の経過とともに、劣化していくので、物件を所有し続ければ、どこかのタイミングで修繕費用が発生することになります。
中古物件を選ぶ際は、室内設備の修繕履歴を確認すると良いです。
賃貸管理会社に問い合わせて、過去どういった修繕を行ったのか?室内設備はいつ交換が必要になるか?
事前に確認をして、修繕費用をあらかじめプールしておくか、月々の手取り収入や給与・ボーナスの一部を、設備修繕費用として貯金しておくなどの対策を実施しましょう。
不動産投資キャッシュフローまとめ
不動産投資のキャッシュフローの計算、その中身、良くしていくにはどうしたらよいか?以上、説明しました。
不動産投資はキャッシュフローが月間・年間でどれだけ残るか?これがとても重要になります。手取り収入を毎年増やしていくことで、資産を形成していくからです。
また、今回は「不動産投資キャッシュフロー」に着目して、説明しましたが、以下の記事で、キャッシュフローと投資対効果についてまとめています。
以下の記事を合わせてご確認ください。
参照記事:
キャッシュフローの中身⇒キャッシュフローが悪くなる要因⇒良くするための対策、この順番で理解しましょう。
キャッシュフローについて理解せず、結果、悪くなり、赤字が続き、失敗する人も中にはいます。
今回の内容をしっかり押さえておけば、失敗するリスクは大きく減りますので、順序良く理解してください。