会社の上司からの紹介であったり、道端で声をかけられたり、自宅や会社に電話がかかってきたり、さまざまなきっかけから、投資用の新築ワンルームマンションが販売されています。
最初は話半分で聞いていたものの
- 年金対策になる
- 預金しているよりも、資産運用になる
- 生命保険の代わりになる
- 節税になる
等のメリットを聞き、マンション投資に興味を持った方もいれば、会社の人がしてるから、上司からの紹介だから、といった理由で話を聞いた方もいるのではないでしょうか。
インターネットや書籍の情報では、新築ワンルームマンション投資は辞めた方が良い!失敗する!など比較的ネガティブな情報が多いですが、実際のところどうなのでしょうか?
新築ワンルームマンション投資のメリット・デメリット、特徴、その他のマンション投資とも比較しながら、投資として良いかどうか結論付けていきます。
新築ワンルームマンション投資のメリット・デメリット
新築ワンルームマンション投資は、新築ワンルームマンションを購入し、人に貸して、家賃収入を得ながら資産形成していく投資です。
まずはメリット・デメリットを確認していきます。
メリット
メリットは3つあります。
- 設備が新しい
- 入居率が高い
- 長期的に利回りを得れる
1.設備が新しい
新築なので、部屋内部の設備は全て新しいです。そのため、設備が壊れて修繕費用が発生する確率は極めて低いです。
マンション投資は、出来るだけ支出を抑えることが重要になりますので、修繕費用がかからない点はメリットになります。
2.入居率が高い
日本人は新しいものを好む方が多く、住まいに対しても同様のことが言えます。
新築に対して、ステータスというか、新築の価値を感じ、家賃が高くても住んでみたい、と思う方も多いです。そのため、新築時は比較的入居率が高くマンション投資を始めて数年は退去する確率も低いです。
3.長期的に利回りを得れる
建物の寿命が持ち、入居者が付く限り家賃収入が入ってきます。
日本発の投資用ワンルームマンションは、東京都新宿区にある「メゾン・ド・早稲田」というマンションです。1977年に建てられ、築40年以上経っていますがいまだに家賃5万円台後半で賃貸されています。
また、建物の寿命は最長で80年超えた物件もあり今の建築技術であれば、60年~70年は建物の寿命が持つと言われています。1929年に施工された、東京都台東区にあった同潤会上野下アパートメントは、2013年に取り壊されるまで築84年建物の寿命が持ちました。
新築マンションは、建物の寿命から考えても入居者が付く限り、長期的に家賃収入から利回りを得れます。
デメリット
次に、デメリットは3つあります。
- 物件価格が高い
- 利回りが低くなる
- 家賃下落率が高い
1.物件価格が高い
新築ワンルームマンションの一番のデメリットは、物件価格が高いことです。以下、同じような条件の中古マンションと比較した表になります。
新築マンションと中古マンションの比較
新築マンション | 中古マンション | |
物件エリア | 東京都 西巣鴨駅付近 | |
築年数 | 新築 | 10年 |
物件立地 | 駅から徒歩8分 | 駅から徒歩3分 |
販売価格 | 29,800,000円 | 20,000,000円 |
価格比較 | 100% | 67.1% |
家賃比較 | 104,500円 | 86,000円 |
表面利回り
比較 |
4.21% | 5.16% |
専有面積 | 25.60㎡ | 25.67㎡ |
近隣家賃相場 | 7.5万円 | |
近隣家賃利回り比較 | 3.02% | 4.50% |
※近隣家賃相場に比べて、新築マンションは家賃が39%高い設定となっています。
※西巣鴨駅周辺の家賃相場は7.5万円、その家賃相場に対する上記、新築・中古マンションの利回りはそれぞれ3.02%、4.50%となりました。
物件によってもさまざまなので一概には言えませんが、中古マンションと比べて大体約3割ほど、新築マンションは価格が高くなります。
2.利回りが低くなる
投資した資金に対する、年間の収益から利回りを計算します。新築物件は物件価格が高く、投資した資金に対して収益性が低いので、中古マンションと比べて利回りが低くなります。
投資の目的は、投資した資金を回収し少しでも多くの利益を得ることです。
利回りが全てではありませんが、マンション投資をする上で非常に重要な要素です。詳しくは以下の記事を参照ください。
参照記事:
3.家賃下落率が高い
新築マンションは中古マンションと比べて、家賃下落率が高いです。
以下、新築マンションと中古マンションの築年数ごとの家賃下落率を示したグラフです。
※引用元:三井住友トラスト基礎研究所データ参考
立地環境、物件の資産価値によって、一概には言えませんが、新築マンションは、築10年の間に約10%、家賃が下落する傾向にあります。
上記の表を見ても、新築プレミアム家賃も築年数の経過とともに、中古家賃に近づいていくと予想できます。
新築時は、高い家賃設定でも入居者が付きますが、一度入居者が退去すると新築時の家賃では付かない場合が多いからです。
例えば、5年入居者が付いて、退去となり再度入居者を募集する場合に同じ家賃設定で入居が付くかどうか?仮に、そのエリアに別の新築マンションが建設されたとします。同じ家賃設定だった場合に、あなたなら築5年経過している物件か、新築物件のどちらを選ぶでしょうか。おそらく、同じ家賃設定なら新築物件を選ぶ方が多いと思います。
グラフから、築年数ごとの家賃下落率、家賃、利回り差を以下にまとめました。(※上記の新築マンションを例に挙げています。)
新築時 | 築10年 | 築20年 | |
家賃下落率 | 0% | 11% | 17% |
家賃 | 104,500円 | 93,000円 | 86,800円 |
家賃下落 | −11,500円 | −17,700円 | |
表面利回り | 4.20% | 3.74% | 3.49% |
利回り減少 | −0.46% | −0.71% |
家賃が下落するということは、その分利回りが低下し、キャッシュフローが悪化することになります。
上記表、新築時から築20年経過すると、家賃が−17,700円下がり、表面利回りが−0.71%下がることがわかりました。家賃の下落は投資効率を下げることにつながります。
月間のキャッシュフローがマイナスになる
更に、新築物件をローン借入、フルローンで購入する方も多いので、ローン返済額が高くなります。
例えば、上記の新築と中古の物件を同じ条件、フルローンで購入した場合を考えます。
新築マンション | 中古マンション | |
物件エリア | 東京都 西巣鴨駅付近 | |
築年数 | 新築 | 10年 |
物件立地 | 駅から徒歩8分 | 駅から徒歩3分 |
販売価格 | 29,800,000円 | 20,000,000円 |
家賃 | 104,500円 | 86,000円 |
表面利回り | 4.21% | 5.16% |
専有面積 | 25.60㎡ | 25.67㎡ |
新築マンションの月間ローン返済額
ローン借入条件
- 物件価格:2,980万円
- 借入額:2,980万円
- 借入金利:1.992%
- 家賃収入:104,500円
- ローン返済額:98,594円
- 家賃収入との差額:5,906円
中古マンションの月間ローン返済額
ローン借入条件
- 物件価格:2,000万円
- 借入額:2,000万円
- 借入金利:1.992%
- 家賃収入:86,000円
- ローン返済額:66,170円
- 家賃収入との差額:19,830円
【参考】家賃相場に対する月間ローン返済額
- 家賃収入:75,000円(家賃相場)
- ローン返済額:98,594円(新築マンションのローン返済額)
- 家賃収入との差額:-23,594円
- 家賃収入:75,000円
- ローン返済額:66,170円(中古マンションのローン返済額)
- 家賃収入との差額:8,830円
月間のキャッシュフロー
上記の差額から、管理費・修繕積立金を引くと、新築物件は月間のキャッシュフローがマイナスになります。一方、中古物件は月間のキャッシュフローがプラスです。※新築マンションの家賃が、相場家賃になると、月間の家賃収入とローン返済額との差額がマイナスになります。
また家賃下落率から家賃が減少すると、更にキャッシュフローが悪くなります。一方、中古マンションも家賃は下落しますが、その下落率は新築と比べてなだらかです。
月間キャッシュフローがプラスかマイナスか?オーナーにとって、非常に重要なポイントになると思います。
新築ワンルームマンション投資がダメ!とうわけではない
しかし、新築ワンルームマンションは全て、マンション投資に向いていない、というわけではありません。
例えば、新築マンションを現金一括購入すれば、毎月のキャッシュフローは月間・年間のランニングコストを引いても、プラスで回せます。物件の寿命は、60年は持つ、と言われているので、物件購入後、建物寿命が60年だとしたら、単純に60年間家賃収入を得れることになります。
現金一括購入した新築ワンルームマンションは入居が続く限り、キャッシュフローがプラスで回ります。考え方によっては長期的な投資として魅力的だと言えます。
しかし、物件価格2,000万円、3,000万円以上を現金一括で出せる人は、そうはいないのではないでしょうか。
物件の立地条件が良ければ資産価値が上がる場合もある
また、物件の立地条件が良ければ、築年数が経過しても資産価値が上がる場合もあります。
2017年に東京カンテイが調査した、築10年中古マンションのリセールバリュー、首都圏についての調査・分析結果によると、リセールバリューが最も高かった駅は東京都中央区、都営地下鉄新宿線の「馬喰横山駅」で155.2%となっていました。
※リセールバリューとは、新築分譲時の価格と、築10年経過した中古マンションの価格維持率のことです。
新築分譲時のマンション価格から比べて、築10年経過し、5割以上も価格が上昇していることになります。
物件価格が上昇した背景は、職住近接エリアに対する居住ニーズや、都心部へのアクセスが良いことから、「馬喰横山駅」の立地環境の価値が高まったことにありました。
引用元:東京カンテイ・2017年中古マンションのリセールバリュー(首都圏)
このように、立地環境の条件が良いことから、所有している不動産の価値が高まっていく可能性もあります。
詳しくは以下の記事を参照ください。
参照記事:
物件条件と購入条件が重要になる
以上のことから、新築ワンルームマンション投資は物件条件と入場券が重要になると言えます。
- 物件条件:物件価格、家賃収入、立地環境条件
- 購入条件:ローンを組んで購入するか?現金一括購入か?ローン借入条件
なぜ失敗する人がいるのか?
それは物件の条件、購入時の条件を押さえていないことが原因です。
※ここでいう失敗とは、月間・年間キャッシュフローが赤字で、最終的に投資した資金を回収できない、損失が確定した状態のことを言います。
物件の立地環境条件が良ければ、家賃収入の減少幅も少なく、資産価値の維持・向上が見込めます。
しかし、立地環境が抜群、とはいえない。例えば、駅から徒歩10~15分くらい、主要都市へのアクセスがさほど良いとも言えない、物件周囲の利便性が良いとは言えない条件。
この立地環境条件の場合、入居者が退去して、再度募集する際に家賃を下げなければいけない場合が多いです。また空室が発生する確率も高くなります。フルローンで組み、借入金利も高くなればその分ローン返済額も増えるので、月間・年間のキャッシュフローが悪くなります。
月々の支出がネックとなり、その支出に耐えきれず、物件の売却。資産価値が高い物件であれば、高値で売却できる場合もありますが、一般的に新築物件と中古物件は価格に3割ほどの開きがあり、売却時、資産価値が落ちる場合が多いです。
- キャッシュフローの悪化 → 売却 → ローン残債が残る
- キャッシュフローの悪化 → 繰り上げ返済をしながらローン完済まで努力する
失敗する方は、キャッシュフローの悪化や赤字が続き、売却してローン残債が残る方です。
あまり深く考えずに新築ワンルームマンション投資を始めてしまう
また、あまり深く考えず新築ワンルームマンションを購入して、投資を始める人も中にはいます。
- 年金対策になる
- 預金しておくよりも、資産運用になる
- 生命保険の代わりになる
- 節税になる
- 上司からの紹介だから
- 周りの人もしているから
など、ここまで説明した新築ワンルームマンション投資のロジックではなくて、メリットや人間関係のみで決断。その結果、悪い物件・購入条件で投資を始めてしまう。
多くの新築ワンルームマンション投資営業マンの目的は、「マンションを販売」することです。
お客様のマンション投資を成功させること、その後の賃貸管理をしっかりすること、ではありません。少し語弊があるかもしれませんが、「マンションを売って終わり」という営業マンもいます。
以上のことから、安易にマンション投資を初めて失敗する方が多くいます。
新築ワンルームマンション投資が良いかどうかは物件と購入時の条件による
結論、新築ワンルームマンション投資が良いかどうかは、物件条件と購入時の条件による、と言えるでしょう。
しかし、物件価格が高く利回りが低い点、キャッシュフローがマイナスになる点は、マンション投資においてボトルネックになります。
私たちは、新築ワンルームマンション投資よりも、中古ワンルームマンション投資が良いとお客様に薦めています。
その理由について詳しくは以下の記事で説明しているので、ご確認ください。
参照記事:
新築ワンルームマンション投資を始めようかと悩まれている方、既に始めていて今後が不安になった方。
まずは中立的な立場で、現状どうすることが最善なのか?適切なアドバイスをさせていただきます。
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