資産運用には、保険、投資信託、株式投資、不動産投資などさまざまな種類があり、それぞれ特徴も異なります。
この数ある資産運用商品の中で、マンション経営は長期的に投資利回りを得れることから資産運用としての注目が高まっています。
しかし、投資利回りを得れるメリットだけではなく、デメリットや注意すべき点もあるので、それらを総合的に考えて資産運用として効果的かどうか判断しなければいけません。
この記事では、資産運用でマンション経営する場合の押さえておくべきポイントについて説明します。
マンション経営で資産運用をする
資産運用とは、所有している限りある資産を運用して、リターンを得ていく取り組みです。(こちらの記事もご確認ください。参照記事:資産運用初心者は必ず読め!)
例えば、保険であれば毎月保険料を支払い、その積み立てた保険料を保険会社が運用して資産を増やしていきます。そして、保険料の支払いが終わる満期を迎えると、元本+運用で増えたお金を受け取れます。
資産運用の商品にはそれぞれ、リスクとリターンがあり、リスクが高い商品はリターンが大きく、一般的に比例関係になっています。
例えば株式投資の一例で考えると、企業の業績が不安定な株に投資をして、業績がうまく上がっていき、買い手が増えれば株価は上がります。一方で、業績が徐々に悪くなり売り手が増えていけば株価は下がっていき、売却して損失が確定してしまう場合があります。大きなリターンを得れる場合もあれば、大きな損失を被る場合もあります。
各資産運用商品でリスクとリターンは異なります。
マンション経営で資産を増やしていく
マンション経営は、マンションを購入し、人に貸して家賃収入を得ていくことで、資産を形成していきます。
例えば、ローン借入をして、投資用ワンルームマンションを購入した場合を考えてみます。
物件に入居者が付く限り、毎月家賃収入が入ってきます。家賃収入から、管理費・修繕積立金、ローン返済などの固定支出があり、その差額が手取り収入となります。手取り収入が増えていくことで、資産形成が出来ます。
資産運用でマンション経営を行う場合は、家賃収入を継続的に得るために、物件に入居者が付くことが重要になります。
多角的な視点を持って取り組む
また、マンション経営は他の金融商品と違って実物資産に投資します。マンションは雨風に打たれながら、築年数が経過するとさまざまな設備が劣化していくため、メンテナンスも必要になります。もし、物件の選定を間違えれば、空室リスクが大きくなってしまいます。
また、不動産投資は数ある資産運用商品の中で、唯一銀行から融資を受けて実践できる投資です。
マンションは数百万円~数千万円は価格がしますので、多くの方は現金一括で購入するのではなく、少額の自己資金とローン借入をして購入します。そうすると、ローン借入をする際の金利、返済額など借入条件が重要になります。
以上のように、マンション経営は物件の条件、購入時のローン借入条件、空室リスクなどさまざまな要因が関係して、投資としてうまくいくかどうかが決まります。そのため、ただ単純にマンションを買って運用すれば家賃収入が入ってきて、利回りを得れるわけではありません。
メリットやデメリット、注意点などさまざまな視点で考えて、多角的に取り組む必要があります。
ではまずマンション経営のメリット・デメリットから整理しますので、以下の内容をご確認ください。
マンション経営のメリット・デメリット
メリット
マンション経営のメリットから説明していきます。
メリットは4つあります。※こちらでは概要説明に留めますので、詳しくは以下の記事を参照ください。
- 年金対策となる
- 資産運用として活用できる
- 生命保険の代わりになる
- 相続対策になる
参照記事:
マンション経営は、家賃収入を継続的に得ていくことで資産を形成していきます。この家賃収入の資産を増やしていくことで、年金対策や資産運用の役に立ちます。
例えば、30歳の会社員が投資用のワンルームマンションを購入したケースを考えます。ローン借入期間を65歳と設定すれば、35年でローンを完済できます。
30歳から65歳までは家賃収入と毎月のランニングコストとの差額から、プラスのキャッシュフローを得られ、運用利回りを得ていきます。
そして、65歳ローン完済後は無借金のマンションを所有できます。ローン返済がなくなれば、支出が抑えられるので収益性が上がります。65歳以降、毎月得られる家賃収入から年金対策となります。
デメリット
次にマンション経営のデメリットについて説明します。デメリットは4つあります。※こちらも概要説明に留めますので、詳しくは以下2つの記事を参照ください。
- 申し込み手続きに一定の期間が必要となる
- 空室リスクがある
- ローン返済額が増えるリスクがある
- 換金の流動性が低い
参照記事:
マンション経営のデメリットとして代表的なのが空室リスクと、現金化する際、換金の流動性が低い点です。
物件が空室になると、そもそも収入が入ってこないので、物件選定を間違えて空室リスクを抱える場合は、収益性が落ちてしまいます。
また、預金や保険、投資信託などの他の金融商品は解約すれば、即日また数日以内に現金化できますので、流動性が高いです。
しかし、マンションは売却時に買い手を探し、売却の手続きをし、決済までに最低でも1週間ほどはかかります。
他の金融商品の中には、インターネットから簡単に解約ができ、現金化できるものもありますが、マンションは少し手続きに手間がかかるため、換金の流動性が低い点はデメリットになります。
資産運用でマンション経営するときに押さえるべき3つのポイント
以上のように、マンション経営にはメリット・デメリットがあり、その中で物件を選定して運用としていくことが重要になります。
では、マンションを運用して安定的に利回りを得ていくために押さえておくべきポイントは何があるのでしょうか?それは以下の3点を押さえて下さい。
- 物件の選定
- ローンの借入条件を押さえること
- 物件の資産管理をしっかり行うこと
1.物件の選定
まずは、大前提として物件に入居者が付かないと継続的に家賃収入が得られません。
世の中にはさまざまな種類のマンションがあり、同じ条件の物件は一つとしてありません。駅から近く、都心部へのアクセスも良い、利便性が良い立地環境の物件もあれば、一方で立地環境が悪いけれど、建物の管理状態や室内の設備条件が良く、需要がある物件もあります。
数あるマンションの中から、物件を選ぶ際に重要なのは以下5つの条件を押さえることです。(※ここでは概要説明に留めますので、詳しくは以下の記事を参照ください。)
- 立地環境
- 建物管理
- 専有面積
- 室内の差別化
- 賃貸管理会社
参照記事:
上記5つの条件の優先順位を総合的に加味して、物件を選定してください。そうすることで、空室リスクを最小限に抑えられ、継続的に入居者が付きます。
まず立地環境条件を押さえることで必須です。なぜなら、駅から近かったり、都心へのアクセスが良かったり、生活環境が良かったり、といった立地環境の条件は入居者が第一に優先することだからです。
※詳しくは以下の記事を参照ください。
参照記事:
2.ローンの借入条件を押さえること
ローン借入条件を押さえることは極めて重要です。
マンション経営で成功するか否か、ローン借入条件で決まると言っても過言ではありません。ローン返済がマンションを運用していく中で最も大きな支出であり、それを抑えることで収益が最大化するからです。
実例を挙げて説明します。以下の例をご確認ください。
- 物件:中古ワンルームマンション
- 築年数:12年
- 物件エリア:東京都中野区
- 物件価格:2,000万円
- 購入時諸費用:60万円
※投資した資金:購入時諸費用の60万円
借入金利1.992%と3.5%で、どれくらい返済額に差があるか比較します。
借入条件①金利1.992%
- ローン借入:2,000万円
- 借入金利:1.992%
- 借入期間:35年
- 月間返済額:66,170円
- 返済総額:27,791,598円
借入条件②金利3.5%
- ローン借入:2,000万円
- 借入金利:3.5%
- 借入期間:35年
- 月間返済額:82,658円
- 返済総額:34,716,413円
上記2つの借入条件から月間返済額と返済総額を比較します。
月間返済額
返済総額
以上のことより、月間返済額で16,488円(年間で-19万円)、返済総額で約692万円の違いがあります。600万円あれば、地方の中古ワンルームマンションを1室くらいは購入できます。
多くのケースで借入額が数百万円~数千万円はしますので、数%金利が異なるだけでローン返済額が大きくなってしまいます。支出を抑え、得られる利益を最大化するためにもローン借入条件を必ず押さえましょう。※詳しくは以下の記事を参照ください。
参照記事:
3.物件の資産管理をしっかり行うこと
物件は、築年数の経過とともに、建物の外観が古くなってきたり、室内の設備が古くなって不具合を起こします。
建物や室内のメンテナンスをしっかり行っている物件と、そうでない物件は明らかに見た目や資産価値の劣化が異なります。※詳しくは以下の記事で説明しています。
参照記事:
https://tatujins.com/m-building/
建物管理を適切に行わなければ、入居者の第一印象が悪くなったり、外観・内観がすぐ劣化して収益物件としての寿命が短くなります。また、室内設備のエアコンやガス給湯器、換気扇などの設備が古くなってくると、交換で修繕費用が必要になります。
そうなると、空室が増えたり、資産価値の低下から長期的に収益が得られなかったり、所有しているマンションが負の資産になってしまいます。
建物管理・賃貸管理会社の重要性
そのため、まずは建物管理がしっかりしている物件を選定することが重要です。上記の建物管理に関する記事でも述べていますが、築30年以上経った物件でもしっかりとメンテナンスをしていれば、外観・内観が非常に綺麗で清潔感があります。古くて価値がある、そんな印象を持つ建物です。
また、信用できる賃貸管理会社に物件管理を任せることも重要です。室内の設備が故障したり、不具合があったり、何かしら室内設備の対応をしてくれるのが賃貸管理会社です。
信用できる会社であれば、オーナーは基本的に何もしなくても管理していけます。
まずは、建物がしっかりメンテナンスしてある物件を選ぶこと、そして信用できる賃貸管理会社に賃貸管理を任せることが重要になります。継続的に物件をメンテナンスしていくことで資産価値を維持・向上することができ、そして長期的に収益を得れます。
マンション経営・押さえておくべきポイントのまとめ
- 物件の選定
- ローンの借入条件を押さえること
- 物件の資産管理をしっかり行うこと
上記の3項目を押さえることで、確実に家賃収入の資産を形成できます。
マンション経営の収益性計算
では実際に資産運用としてマンション経営を実施したときに、家賃収入からどれくらい利回りが得れるのか?前述した物件条件を元に計算しますので、以下ご確認ください。
物件条件
- 物件:中古ワンルームマンション
- 築年数:12年
- 物件エリア:東京都中野区
- 物件価格:2,000万円
- 購入時諸費用:60万円
※投資した資金:購入時諸費用の60万円
借入条件
- ローン借入:2,000万円
- 借入金利:1.992%
- 借入期間:35年
収支条件
- 家賃収入:90,500円
- 管理費:7,800円
- 修繕積立金:6,300円
- 管理代行費:3,240円
- ローン返済:66,170円
- 月間収支:6,990円
- 固定資産税:59,000円
- 年間収支:24,880円
投資した資金に対する利回りを計算
まず上記条件の物件から投資した資金に対する利回りを計算します。資産運用は投資した資金に対して、どれだけ利回りを得られたかが重要になります。
例えば、上記の1.992%の金利だと、月間・年間の収支は以下のようになります。
- 月間収支:6,990円
- 年間収支:24,880円
物件価格は2,000万円ですが、フルローンを組んで物件を購入していますので、実質マンション経営に投資した資金は購入時諸費用の60万円のみです。(※フルローンとは、物件価格と同じ金額でローンを組むことです。)
投資した資金60万円に対する利回りを計算します。
実質、投資した資金に対する利回りは4.15%になります。
現在、預金の金利が0.001~0.01%程なので、60万円預金しておけば、年間で6円~60円のわずかな利息です。しかし、上記物件に投資をして運用すれば約400~4,000倍の投資利回りを得れます。
※利回りについて詳しくは以下の記事を参照ください。
参照記事:
マンション経営の収益は長期的に得られる
更にここで注目していただきたいのが、マンション経営から長期的に得られる収益についてです。
例えば、保険や投資信託などの他の運用商品は、最終的に解約すれば、その決まった解約返戻金しか受取れません。
保険商品で例えると、返戻率が120%の貯蓄性の保険に、トータルで保険料を300万円投資した場合は、元本+運用益の360万円が解約返戻金になります。
しかし、マンション経営の場合は収益が決まっていません。
上記条件の物件で、35年間ローン完済まで運用した場合に、87万円の収益が得られます。
投資した資金60万円に対する利益率は、145%になります。
この時点で既に、投資した資金を回収していますが、、更に、マンション経営から得られる収益の本領発揮は、ローンを完済したところから始まります。
ローン完済後の収益性
改めて条件を確認します。物件は築年数の経過とともに経年劣化していきますので、仮にローン完済後、購入時から家賃が15%下落したと仮定します。
物件条件
- 築年数:47年(購入時の築12年から、ローン完済までの35年を考慮して)
- 家賃収入:90,500円 → 76,000円(家賃下落率15%と仮定する)
- 管理費:7,800円
- 修繕積立金:6,300円
- 管理代行費:3,240円
- 月間収支:58,660円
- 固定資産税:59,000円
- 年間収支:644,920円
マンションは、60年は建物の寿命が持つと言われていますので、建物の寿命が後13年と仮定します。
年間収支から、残り13年の収益性を計算すると、838万円の収益を得れます。
以上のことから、投資開始から築年数60年までのトータルの家賃収入を合計すると、925万円となります。
投資開始から得られる家賃収入の合計額
投資した資金に対する利益率を再度計算すると、1,542%となります。
つまり、投資した60万円の資金が15.4倍になるということです。更に、建物が無くなっても最終的に土地の所有権は残るので、売却してまとまったお金を得ることも出来ます。
しかし、リスクもあります
以上のように、細かく計算して投資した資金に対する収益を考えていくと、非常に高い収益を得れます。(参照記事:低リスクで行える5つの資産運用商品)
しかし、注意してほしいのが上記条件は、家賃下落のみを考慮して算出しています。実際は入居者が退去、入れ替わるタイミングで空室が発生したり、家賃下落率が変わったり、室内の設備劣化により突発的な修繕費が必要になったり、さまざまな事象が発生します。
不確定要素ですが、どんなリスクがあり、どう対策をすれば良いのか理解できれば、十分対処可能です。※詳しくは以下の記事をご確認ください。
参照記事:
資産運用としてマンション経営はどうなのか?
今回の内容を総括すると、資産運用でマンション経営するときの3つのポイントを押さえて実施すれば、確実に運用利回りを得れます。
- 物件の選定
- ローンの借入条件を押さえること
- 物件の資産管理をしっかり行うこと
また、今回の内容を読んでお分かりいただけたかと思いますが、マンション経営を始める入り口の条件次第で、成功か失敗が8割決まると言っても過言ではありません。
資産運用でマンション経営することを検討している方は、ぜひ今回の内容を参考にして実施するかどうかをご判断ください。
今回の内容を踏まえて以下の記事にも一度目を通してください。
参照記事:
マンション経営を資産運用として活用することについて、もう少し詳しく話を聞きたい方は一度お問い合わせください。
今回説明した物件とは異なる中古ワンルームマンションの事例を挙げてわかりやすく説明します。
相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。