少子高齢化に伴う年金額の減少、国民年金・厚生年金の保険料アップ、日々ニュースや新聞、インターネット等で老後の年金に関する情報を目にします。
おそらく多くの方が将来老後の年金を受給できるのか?受給できたとしてもあまりもらえないのでは?と不安に思っているのではないでしょうか。
そんな中、家賃収入を私的年金にする不動産投資が注目を集めています。
不動産投資で私的年金を作るために押さえておくべき重要なポイントは何のか?この記事で詳しく説明していきます。
日本の年金事情
日本の年金は、20歳~60歳の公的年金を支えている現役世代が国民年金・厚生年金の保険料を支払い、65歳以上の高齢者を支えている仕組みです。
平成29年版厚生労働白書 によると、1980年代は、6.6人で1人の高齢者を支え、2015年には2.3人で1人の高齢者を支えていました。2045年には1.4人で1人の高齢者を支えることになると予測をしています。
本格的な少子高齢化社会の突入で、年金額が減少したり、国民年金・厚生年金の保険料がアップしたりと、日本の年金問題は深刻になってきています。
まずは将来もらえる年金から、必要な生活費を差し引いて、どれくらいのお金が必要になるのか?イメージしていただきたいと思います。
老齢年金受給額
以下に平成28年度の厚生年金保険・国民年金事業の概況から引用して、単身世帯・夫婦世帯の老齢基礎年金・老齢厚生年金の平均受給額をまとめました。
老齢基礎年金 | 年金受給額 |
単身者世帯 | 55,373円 |
夫婦世帯 | 110,746円 |
老齢厚生年金 | 年金受給額 |
単身世帯 | 145,638円 |
夫婦世帯 | 221,200円 |
将来必要な生活費
一方、平成28年度生命保険文化センターの生活保障に関する調査結果によると、老後夫婦で最低限必要な生活費は約22万円、ゆとりある生活を送る場合は約37万円必要になります。
以下に生命保険文化センターの生活保障に関する調査から引用して、老後夫婦世帯・単身世帯で最低限必要な生活費、ゆとりある生活費の必要額をまとめました。
夫婦での生活 | 生活費 |
最低必要な生活費 | 220,000円 |
ゆとりある生活 | 370,000円 |
単身世帯 | |
最低必要な生活費 | 150,000円 |
ゆとりある生活費 | 180,000円 |
引用元:生活保障に関する調査
老齢年金受給額から、必要な生活費の差額を計算します。
ⅰ.老齢基礎年金を受給する世帯の毎月の不足生活費
単身世帯 | ||
老齢厚生年金 | 55,373円 | |
最低必要な生活費 | 150,000円 | |
ゆとりある生活 | 180,000円 | |
差額 | −94,627円 | −124,627円 |
夫婦世帯 | ||
老齢基礎年金 | 110,746円 | |
最低必要な生活費 | 220,000円 | |
ゆとりある生活 | 370,000円 | |
差額 | −109,254円 | −259,254円 |
ⅱ.老齢厚生年金を受給する世帯の毎月の不足生活費
単身世帯 | ||
老齢厚生年金 | 145,638円 | |
最低必要な生活費 | 150,000円 | |
ゆとりある生活 | 180,000円 | |
差額 | −4,362円 | −34,362円 |
夫婦世帯 | ||
老齢厚生年金 | 221,200円 | |
最低必要な生活費 | 220,000円 | |
ゆとりある生活 | 370,000円 | |
差額 | 1,200円 | −148,800円 |
老後の不足生活費
以上の計算結果から国民年金加入者と厚生年金加入者共に、老後に不足生活費があります。
特に国民年金を支払っている老齢基礎年金受給者は最大で、−約25万円/月の不足額です。
更に、今後少子高齢化で現役世代が減り年金が徐々に減少していく可能性が高いです。
今月の日本経済新聞のニュースでは、現在65歳まで働けるように義務付けているところを、70歳まで働けるように環境整備を整える。と記事にありました。
70歳まで働けるようになれば、働いている70歳までの期間は収入が入ることになります。そうなってくると、将来的に年金受給開始年齢が70歳まで引き下がる可能性もあります。
過去から現在の年金事情、老後の働き方の変化等、考慮すると老後生活に関わる不安材料はこれからも増えていきそうです。
私的年金を作るには?
こういった年金事情を考えると、将来老後の備えは確実に必要になってくると言えるでしょう。
国も私的年金を作るようにと、掛金が全額所得控除になる確定拠出年金や、毎年一定金額の範囲内では運用利益が非課税になるNISAなど資産運用商品を薦めるようになってきました。
また、その他の資産運用商品には、預金や保険、投資信託、株式投資、FX、不動産投資などが有ります。
資産運用の商品について詳しくは以下の記事で説明しています。ご確認ください。
参照記事:
将来多くの方が迎える老後に対して、私的年金を作るには
- 確実に資産形成が出来ること
- リスクが低いこと
この二つが重要になってきます。
上記二つの観点から考えて、投資資金がマイナスになったり損をする可能性が高い株式投資やFX、リスクの高い銘柄に投資をしている投資信託で私的年金を作るのは難しいでしょう。
一方、リスクが低い商品に預金が有ります。しかし、預金は普通預金が利率0.001%、定期預金が利率0.01%と非常に低いです。資産を確実に増やすことは難しいです。
あとの資産運用対象は保険と不動産投資があります。
貯蓄型の保険は低リスクで30年~40年と中長期的に運用した場合に、資産を確実に増やせます。
不動産投資は物件の選定・ローンの借入・賃貸管理会社選び、この3点さえ間違えなければ、低リスクで確実に資産形成が出来ます。
不動産投資は、建物の寿命が持ち入居者が付く限り家賃収入を得られます。建物の寿命は約60年は持つと言われています。
築10年の中古ワンルームマンションを持てば、60年−10年=50年、50年は家賃収入を得られることになります。
30歳から不動産投資を始めて、50年間であれば、80歳までは家賃収入を得られる計算になります。また家賃収入で投資資金を回収しながら、最終的には自身で物件に住んだり物件を売却して売却益を得れたりと、その時の状況に合った出口戦略を選べます。
保険も低リスクで運用益を確実に得れますが、不動産投資は家賃収入の収益期間と実物資産を所有し、出口戦略が多種多様にある点から私的年金の優位性があると言えます。
家賃収入を私的年金とする
実際に老後、家賃収入を得るイメージをしていただきたいと思います。
夫婦世帯、老齢厚生年金を受給する場合、約22万円が平均的な受給額になります。最低限の生活を送る場合の生活費は満たしていますが、ゆとりある生活を送る場合には、22万円−37万円=−15万円、生活費が不足しています。
毎月手取り家賃収入が7万円の中古ワンルームマンションを3室所有していたら、7万円×3室=21万円/月、となり毎月不足生活費15万円を補えることになります。
ローン完済時期は重要
老後確実に家賃収入を得るためにはローン完済時期が重要になります。
60歳で定年退職して老後を迎える方は、60歳までにローンを完済して、家賃収入を得ていく必要があります。
一方、65歳で定年退職して老後を迎える方は、65歳までにローンを完済する必要があります。
定年退職をして労働収入がない状態で、毎月ローン返済していくのは家計がかなり厳しくなると思います。
何歳まで仕事を続けて、いつまでにローンを完済するかをある程度イメージしておく必要があります。
老後を迎えるまでのリスク
老後を迎え、毎月決まった家賃収入が入ってくれば経済的にも安定した生活を送れます。しかし、多くの方が老後を迎えるまでに数十年は先のことになると思います。20代30代の方であれば、老後生活を迎えるまで20年~40年先のことです。
不動産投資をはじめ、老後を迎えるまでにどういったリスクがあるのか?説明していきますので、ご確認ください。
- 購入する物件のリスク
- 空室のリスク
- 金利上昇のリスク
- 設備劣化のリスク
1.購入する物件のリスク
物件によっては購入してから、設備が壊れた。排管から水漏れをして他の階に被害を与えた。等、購入後に設備の故障が発生するリスクがあります。
部屋内部のエアコンやガス給湯器、換気扇などは10~15年が寿命になっています。築10~15年の中古ワンルームマンションで新築当時から一度も設備の交換をしていない物件であれば、購入後に設備の修繕費用が発生する可能性も有ります。
また、購入時から入居者が付いているオーナーチェンジ物件などは不動産投資スタート時から家賃収入を得られるので、オーナーにとってはメリットがあります。しかし、部屋内部の設備を実際に詳しく見るのは難しいため、購入後の設備修繕のリスクは注意が必要です。
また入居者が付いていると言っても、家賃をよく滞納する入居者であったり、他の部屋に迷惑をかける入居者であったりした場合には、購入後に問題が発生してしまいます。
事前に過去の設備交換履歴をチェックしたり、入居者の属性をチェックしたり、購入前の事前調査が重要になります。
2.空室のリスク
不動産投資の最大のリスクは空室です。
物件が空室となれば家賃収入が入ってこないので、出来るだけ空室を抑え、更に家賃収入を維持・向上させることが不動産オーナーにとっては重要になります。
空室は入居者目線で考えたときに、ニーズに合っていないことが根本的な原因です。
駅から徒歩20分以上も歩いて、物件周辺にコンビニやスーパーが無く、不便な場所にあったり、建物の外観が汚く不清潔な印象を持つ物件であれば、入居者のニーズから外れてしまい空室リスクが高くなります。
仕事が多忙な電車通勤の会社員であれば、出来るだけ最寄の駅から近い物件を優先的に選んだり、買い物を良くしたり綺麗好きな女性であれば、物件周辺にスーパーや薬局などの利便性が良い施設がそろっていて、建物の外観が綺麗で清潔感がある物件を選んだりします。
空室リスクを出来るだけ抑えるためには、マンション経営成功の5つの条件を押さえることが重要になります。
マンション経営成功の5つの条件
- 立地と環境
- 建物管理
- 専有面積
- 室内の差別化
- 賃貸管理会社
詳しい説明は、以下の記事をご参照ください。
参照記事:
特に、1.と2.の立地と環境、建物管理は最も重要な要素で、その2つを押さえていれば空室リスクを抑えることが出来ます。
将来、老後を迎えるまで多くの方は数十年の期間が有ります。
特に立地と環境は物件を購入すると、条件の変更が効きません。その場合、数十年間、空室リスクに苦しむ可能性が高いです。
将来老後も安定して家賃収入を得るためにも、参照記事にあるマンション経営成功の5つの条件をまずは理解してください。
3.金利上昇のリスク
バブル崩壊以降、日本はデフレ経済へと進み、1990年台初期、政策金利、長期プライムレート共に6~8%程あったのが、金融政策などの影響もあり徐々に金利が下がり今はほぼ0%に近い金利となっています。
2018年の7月に日銀の黒田総裁は、長期金利をプラスマイナス0.2%程度は容認すると発言していましたが、一方で長期金利の0%程度の誘導を維持するとも発言していました。
需要と供給、金融政策、デフレ・インフレ、さまざまな要因から金利が上昇したり下落したしますが、将来的にどうなるか確定はできません。
今は低金利で、投資用ローンの借入をするには絶好のタイミングですが、将来的には金利が上昇するかもしれません。
2,000万円のローン借入、金利1.992%(弊社提携金融機関の金利)、期間35年間で組んだ場合と、同条件で金利3.0%でローン借入した場合は、総利息額に−約453万円の差額が有ります。
数%でも金利が上昇すれば、総利息額で数百万円と差額が出てしまいます。
繰上げ返済
金利上昇リスクに備えるには、繰上げ返済をすることです。
繰上げ返済をすることで以下3つのメリットがあります。
- 金利上昇リスクを事前に防げる
- ローンの返済を早めることが出来る
- 総利息額が減る
毎月の給料やボーナスからいくらプールしておいて、毎年数十万円でも繰上げ返済することをお薦め致します。
4.設備劣化のリスク
不動産は、実物資産ですので築年数の経過とともに経年劣化します。
前述したように部屋内部の、換気扇やクーラー、ガス給湯器等の設備は10~15年が寿命で水回りの排管は築30年ほどすると、水漏れなどを起こす危険があります。
以下に設備の種類と故障した際の必要費用(工事費込み)の概算を示しました。
交換設備 | 必要費用 |
網戸 | 3,000~4,000円 |
換気扇 | 30,000~40,000円 |
IHコンロ | 40,000~50,000円 |
エアコン | 80,000~100,000円 |
給湯器 | 100,000~150,000円 |
電気温水器 | 200,000~300,000円 |
設備が故障したり不具合があり交換する場合は、上記記載の必要費用が掛かってきます。
老後を迎えるまでの数十年の間に、設備が劣化し修繕・交換が必要になる時があると思います。
毎年プラスになるキャッシュフローから、事前に設備修繕費用としてプールしておいたり、物件購入前にある程度の設備修繕費用をシミュレーションしておくと良いでしょう。
リノベーション
また、リノベーションをして資産価値を向上させる、家賃をアップして収益性を高める方法もあります。
リノベーションとは、部屋内部の設備や古くなった水回りの排管、フローリング、クロスなどを全て取り、部屋をスケルトン状態から新築同様に作りこんでいくことです。
リノベーションの成功事例は以下の参照記事で詳しく説明していますので、ご確認ください。
参照記事:
以下の物件は、弊社で管理をしている実際の物件で、リノベーション工事を実施した写真になります。
リノベーション前の室内写真
⇩
リノベーション中の室内写真
⇩
リノベーション後の室内写真
まとめ
不動産投資で私的年金を作るために押さえておくべきポイントは以下の点です。
- 現在あなたは国民年金・厚生年金どちらに加入しているか?そこから将来もらえる年金受給額を把握すること(※加入期間、年収から将来もらえる年金は変わってきます)
- 将来必要な生活費から、年金受給額との差額を把握し毎月どれくらい不足生活費があるのかを把握すること
- 不動産投資は、低リスクで確実に資産形成出来る。家賃収入と実物資産を得れる。出口戦略が多種多様。以上の点から私的年金作りに合っていること
- 不動産投資で私的年金を作る際に、ローン完済時期は重要になること
- 老後を迎えるまでの4つのリスクを理解すること
弊社では、私的年金作りとして中古ワンルームマンション投資をお薦めしています。
なぜ中古ワンルームマンション投資を薦めているのか?以下の記事で説明していますので一度ご確認ください。
不動産投資で私的年金作りをしようと真剣に考えている方はぜひ一度お問い合わせください。
なぜ私的年金作りで中古ワンルームマンション投資が良いのか?メリットやデメリットなど客観的に説明させていただきます。