サブリースの問題点・2つの事例から読み解く

ブリースは、物件の選定ミスや業者側の不適切な対応などから、さまざまな問題へと発展します。

サブリースの問題について、過去NHKで取り上げられたこともありました。

参照記事:クローズアップ現代、アパート建築が止まらない

  • 賃料が下げられ、ローン返済がままならない
  • サブリース契約を解除しようにも、なかなか解除ができない
  • 解除できたとしても、数十万円の違約金が発生する
  • 会社が倒産し、残ったのは数千万円のローン残債と入居率が低いアパートのみ

このように、サブリース契約を結んだことによって、さまざまな問題に直面し、何とか解決できないものかと、苦しんでいるオーナーはたくさんいます。

サブリースとそれらを取り巻く環境にはさまざまな問題が潜んでいます。

 

この記事で、サブリースの問題について2つの事例から読み解いていきます。

※サブリースの基本的な内容について知りたい方は、以下の記事を参照ください。

参照記事:

サブリースとは?意味と仕組みを超わかりやすく簡単に解説しました

サブリースについて

サブリースとは、賃貸管理形態の中の一つです。

賃貸管理には、以下の4つがあります。

  • 自主管理
  • 一般管理
  • 集金代行
  • サブリース

※賃貸管理形態について詳しくは以下の記事を参照ください。

参照記事:

不動産経営で成功するために必須の賃貸管理とは?どの管理形態でどんな会社に委託すればよい?

 

仕組みは、オーナーが所有している物件をサブリース会社が一括で借り上げ、それを入居者に転貸します。転貸とは、又貸しのことです。

サブリース 仕組み

図.サブリースの仕組み

そして、入居者からサブリース会社に家賃が入ってきて、サブリース会社から賃料をオーナーに支払います。

※サブリースの仕組みについて詳しくは以下の記事を参照ください。

参照記事:

https://tatujins.com/sublease-2/

サブリースの収益構造

サブリースの収益構造

サブリース会社はこの転貸賃料と賃料の差額から、利益を得ています。

サブリース契約を結んだオーナーは、空室時でもサブリース会社から賃料を得られます。

ただ、この空室リスクをサブリース会社が負う代わりに、オーナーが得られる収入は、転貸賃料の80~90%程です。

また、賃貸管理もサブリース会社が一括で行っているので、オーナーは物件の管理をする手間が省けます。

 

このように、オーナーからしてみると、収益性は下がりますが、最大のリスク空室をサブリース会社が負い、更に管理も管理会社が負うので一見すると、メリットがあるのでは?と思うオーナーも多いです。

一体、どのようなところに問題が潜んでいるのでしょうか。

 

以下、2つの事例からサブリースの問題を読み解いていきます。

サブリース・問題に発展した事例

サブリースの問題点・事例紹介

以下、サブリース契約を結び、問題に発展した2つの事例を紹介します。

  • レオパレス21のサブリース問題
  • 「かぼちゃの馬車」シェアハウス投資の問題

レオパレス21のサブリース問題

レオパレス21のサブリース問題

レオパレス21は、1985年から都市型アパート「レオパレス21」を本格的に販売し始めた会社です。

1993年~、オーナーの土地活用のニーズから、賃貸住宅の建設、賃貸管理までを一括で行うサブリース事業を始めました。

また、入居者に安心した生活環境を提供するために、一時利用に便利な、家具家電付きのマンスリーの販売を開始したり、いち早くインターネット設備を導入したりしました。

10年以内に賃料の減額

レオパレスのサブリースの仕組みは、まず土地を所有している、地主に営業をかけることから始まります。

地主が所有している土地に、アパート建設を持ち掛け、そのアパートをレオパレスが一括で借り上げ、賃貸管理をする、というものです。

オーナーには、転貸賃料(家賃)の80~90%の賃料を支払います。

オーナーは、契約時に「30年間の一括借り上げ」「10年間賃料の固定」と説明を受けます。

 

しかし、ふたを開けてみると、10年以内に賃料の減額を請求されています。

この賃料減額から、集団訴訟に発展したケースもあります。

参照記事:賃貸住宅新聞・サブリース家賃減額で訴訟

 

契約時の説明と実際のサブリース契約の内容が異なることから、オーナー側は「契約時には聞いていない話!」とトラブルに発展しました。

※レオパレス21のサブリース問題について詳しくは以下の記事を参照ください。

参照記事:

レオパレス21のサブリース問題

「かぼちゃの馬車」シェアハウス投資の問題

「かぼちゃの馬車」シェアハウス投資の問題

次に、かぼちゃの馬車、シェアハウス投資の問題です。

この問題は、2018年、1月に賃貸住宅新聞、また日経新聞にも大きく取り上げられました。

オーナーは、シェアハウス物件を購入し、最終的にオーナーへのサブリース賃料の支払いが停止され、サブリース会社が経営破綻しました。

 

ビジネスモデルは、スマートデイズが、運営管理するシェアハウスをオーナーが土地代+建築費を含めて数千万円~数億円で購入し、同社が物件を一括で借り上げ、サブリース契約を結ぶものです。

オーナーには、サブリース会社から賃料が入ってきます。

ターゲットは、年収600~1,000万円以上の上場会社の会社員や経営者で、資産運用や年金対策の目的で投資を始められた方が多いです。

入居者が付かず収益悪化

しかし、サブリースは賃料が保証されているといっても、入居者が付かないとサブリース会社も利益を上げられないので、成り立たないビジネスモデルです。

 

このシェアハウスは入居率が悪い時で、34%の時もあり、基本的に入居率が50%を切っている状況でした。

 

入居率が低い状況から、サブリース会社も利益を取れなくなり、賃料の減額、最終的に賃料の支払い停止、会社の経営破綻となりました。

残されたのは、数千万円から数億円のローン残債、そして入居率の悪いシェアハウス。

「自己破産するかどうか、、」多くのオーナーが再生に苦しんでいます。

※シェアハウス投資の問題について詳しくは以下の記事を参照ください。

参照記事:

シェアハウス「かぼちゃの馬車」の問題について

事例から読み解く・サブリース契約を結んだことによる問題は?

以上、サブリース2つの事例からさまざまな問題がありましたが、まとめると、

「将来の年金対策、資産運用をしようとサブリース契約を結び、不動産経営をスタートさせた。しかし結果、収支がマイナスになったり、自己破産を迫られたり、と全く思ったような結果にならなかった」ことが最も大きな問題です。

サブリース問題・3つの原因

サブリース3つの問題点

上記2つの事例から、読み解く問題が発生した原因は3つです。

 

  1. 物件の選定ミス
  2. 業者側の不適切な説明
  3. サブリース契約

1.物件の選定ミス

サブリース問題の根本、もっというとこの不動産経営で起きた問題の原因は、物件の選定ミスです。

不動産経営では、長期的に、家賃収入を得るため物件の選定、入居者ニーズに合った物件を選ぶのが重要になります。

特に重要なのが、立地環境です。

 

上記2つの事例では、どちらも立地環境が悪い条件でアパート、シェアハウスを建設しています。

  • 明らかに入居者が付きそうにない、人気の少ない、賃貸需要が見込めない立地
  • 同じ地域にアパートが乱立し、回りが競合だらけになってしまった
  • 都市中心部から、徒歩30分、明らかに立地環境が悪い

サブリース契約でなくても、上記の物件立地では、長期的に安定収入を得るのは難しいです。

 

結局は、入居者ニーズに合う物件の立地で、経営して利益を上げられなければ、賃料減額となり、オーナーの収入は安定しません。

サブリース問題の一番の原因は、入居者が付かないような、物件立地でサブリース契約を結び、不動産経営することです。

2.業者側の不適切な説明

以下の参照記事で、詳しく説明していますが、業者側の不適切な説明により、オーナーが騙されることです。

サブリース業者が、契約時に「賃料は下がらない」、「10年間賃料は固定」、「将来の安定して入る収益シミュレーション

こういった説明を受け、多くのオーナーは安心し、契約しました。

 

しかし、実際は10年未満の賃料減額サブリース賃料の支払い停止

結果として、「契約時の話と違う!これは詐欺だ」と上記どちらの事例でも訴訟に発展しています。

サブリース問題の2つ目の原因は、サブリースのデメリットやリスクをしっかりと、契約時に業者が説明していないことです。

参照記事:

なぜサブリースは詐欺と言われるのか?

3.サブリース契約の中身

これはサブリース契約の法律上、一部問題視されていることです。

それは借地借家法で、オーナーよりも立場が弱いサブリース会社が守られるということです。

借地借家法で、オーナーは賃貸人、サブリース会社は賃借人、弱者保護の観点から賃借人が保護されるものとなっています。

オーナーは正当な事由がなければサブリース契約を解約できないこと、賃料の減額請求には基本的に応じなければいけない、ということがあります。

※一部、周辺相場の家賃と賃料が大幅に乖離していることから、賃料減額が不当となった事例もあります。

参照記事:不動産サブリース被害

 

法律で決まっている部分もありますが、賃借人のサブリース業者が保護される仕組みを逆手にとり、それを不当に乱用する行為は問題視されています。

サブリース問題の3つ目の原因は、借地借家法で、オーナーよりも立場が弱いサブリース会社が守られるということです。

サブリースの問題まとめ

サブリースの問題点まとめ

以上のようにサブリースの事例から、問題が発生する3つの原因を読み解きました。

  1. 物件の選定ミス
  2. 業者側の不適切な説明
  3. サブリース契約

不動産経営やサブリースについて、あまり知識や経験が少ない状態で、サブリースの問題と、その問題が発生する原因について全て把握するのは正直難しいのでは?と思います。

 

そのため、まずはしっかりとサブリースに関する知識を身に付けることと、信頼のおける不動産業者を1社見つけて、いつでも相談できる体制をとっておくことをおすすめします。

もう少し細分化して、もしサブリース契約をこれから結ぼうとしている方、既に契約を結んでいる方は以下の点に注意してください。

 

サブリース契約をこれから結ぼうとしている方

  • サブリースの良い話があっても、メリットだけで判断し、安易に契約を結ばないこと
  • 業者の実際にサブリース契約でうまくいっている事例、お客様の事例を確認すること
  • 当サイトの記事で、事前にサブリースの知識を学ぶこと

 

サブリース契約を既に結んでいる方

  • まずは、現在のサブリース契約の内容を契約書から、確認すること
  • 内容がよくわからなければ、業者に問い合わせて確認すること、その際、今後のリスクやデメリットなどをしっかり確認すること
  • 業者が適切な対応をしてくれなければ、弊社にご相談ください。第三者の立場から、適切なアドバイスを差し上げます。

 

以下、当サイトのサブリース記事です。現在、あなたの関心のある記事にがあれば、一度は目を通してください。

参照記事:

 

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大神 健志大神 健志

とはいっても、サブリースについていろいろと調べて「結局何が良くて、何が悪いか判断できない」という方もいらっしゃいます。

弊社は、毎月サブリースに関するお問い合わせをいただいていて、その際、第三者の立場から客観的にアドバイスさせていただいています。

「サブリースについて良くわからないし、とにかく今すぐにでも問題を解決したい!」という方はお気軽にお問い合わせください。

 

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